2012年10月22日月曜日
茶舗あすか 特玉川在来
西荻窪の「茶舗あすか」さんは、在来種が並ぶお店だ。
「玉川」というのは静岡の地名で、今日では中河内川流域になるようだ。
中河内川は、茶でも有名な安倍川に合流している。
(ちなみに「両河内」というのは東にある興津川流域の一部であり、異なる地域。)
その玉川の在来種を使ったレアなお茶。
葉は大きめで、茎もそこそこ散見され、芽は入っているが少なめ。
いかにも在来種とセットになりそうな仕上げ。
鄙びた味がするが、不思議と渋みは鋭くない。
旨みも思ったよりもあり、茶葉の旨みと茎の旨みが溶けあう。
蒸しは普通(浅め)で、水色(すいしょく)はかなり黄味ががっている。
煎茶というより番茶に近い感覚。
品評会入賞茶がずらっと並ぶお店もあれば、こちらのように在来種が並ぶお店もある。
日本茶専門店といっても大きな違いがある。
しかし、どちらにしても生半可な店ではない。
こちら「茶舗あすか」さんは、お茶屋さんには珍しく、急須の品揃えも特筆すべき水準である。
2012年10月12日金曜日
全国茶品評会三等入賞 釜炒り茶 北野徳浩 思月園
全国茶品評会三等入賞 釜炒り茶
生産者:佐賀県嬉野市 北野徳浩
1,680円/100g
2012年10月思月園
三等(上位15%)でもこの価格で飲めるのは釜炒り茶ならでは。
茶葉は黒みがかり好きな香りがするが、新鮮な香りはそれほどでもない。
淹れてみると、思ったよりも、少し火入れがある普通の蒸し製煎茶に近い印象。
「釜香」を上品に抑えてあるのだろうか。
蒸し製の新鮮で繊細な香りは無くとも、緑葉の旨みが多く、臭みも無く飲みやすい。
湯の温度や量も柔軟に受け入れ、美味しく入る幅が広い。
秋冬に嬉しいお茶となりそうだ。
気づいたら同じく佐賀県の唐津焼と合わせて飲んでいた。
2012年10月2日火曜日
今秋、思月園さんの品揃えが凄い。
思月園さんのブログを見たら、各品評会のお茶が山のように入荷していて驚いた。
ここ数年で一番多いのではないだろうか?
世の中的には、放射能という、お茶に暗い陰を落とす問題は、まだまだ消えていない。
それどころか、放射能測定基準が変わったり(農水省の発表はこちら)、不穏な動きもある。
その基準で「規制値以下」とはいえど今年もセシウムが検出されている狭山茶などの生産農家は、本当に大変なことだと思う。
東京電力は自分達のボーナス復活よりも、お茶の生産農家への補償をきちんと行ってほしい。
そして、今年は店主の高宇さんも体調を崩されていた。
そんな暗い気持ちを吹き飛ばすかのような、本年の大量入荷には、熱い思いを感じずにいられない。
かぶせ茶、「やまとみどり」交配種、相良村のものが入ったり、
釜炒り茶は全国茶品評会「一等一席」(一位)を含む圧巻の品揃え。
東京中見渡しても、これほどの品揃えをしているお店はあるだろうか?
「東京都茶協同組合」加盟のお店を何軒か覗いてみても、品評会のお茶はあっても一種類というところもある中で、この品揃えは凄いとしか言いようがない。
上記のような色々な出来事があってみて、こうやってお茶をいただけるのは当たり前のことではなく、本当に恵まれていることだという思いを新たにする。
後から振り返って、「あの頃は色々なお茶が飲めたなあ」では遅いのだ。
2012年9月30日日曜日
東京都優良茶品評会入賞茶 八女 清風園
東京都優良茶品評会入賞茶
八女
清風園にて1,050円/100g
秋になり品評会のお茶が店頭にも出てきた。
本年(2012年)の第42回東京都優良茶品評会では、129点出品され、品質ごとに3部門(都の華/誉/香)に分かれて審査されたとのことである。
入賞茶なのに1,050円/100gなのには驚かされたが、東京都の品評会は「都の華」(上級)、「都の誉」(中級)、「都の香」(並級)に分かれているので、「誉」か「香」部門での入賞なのかもしれない。
茶葉を見ると、芽の部分から茎に近い部分まで万遍なく入っており、旨み(肥料的な)もかなりあるものの、芽の繊細な香りはその「万遍無さ」に埋もれた感あり。
もう一段、唐箕にかけたほうが良かったか。
少し「やまかい」的な香りの癖があり、八女にしては渋め。
八女
清風園にて1,050円/100g
秋になり品評会のお茶が店頭にも出てきた。
本年(2012年)の第42回東京都優良茶品評会では、129点出品され、品質ごとに3部門(都の華/誉/香)に分かれて審査されたとのことである。
入賞茶なのに1,050円/100gなのには驚かされたが、東京都の品評会は「都の華」(上級)、「都の誉」(中級)、「都の香」(並級)に分かれているので、「誉」か「香」部門での入賞なのかもしれない。
茶葉を見ると、芽の部分から茎に近い部分まで万遍なく入っており、旨み(肥料的な)もかなりあるものの、芽の繊細な香りはその「万遍無さ」に埋もれた感あり。
もう一段、唐箕にかけたほうが良かったか。
少し「やまかい」的な香りの癖があり、八女にしては渋め。
2012年8月20日月曜日
[番外編・紅茶]ヌワラエリヤ ラバーズリープ PEKOE ティーハウス・タカノ
マスカテルではないが少しダージリンにも似た若葉の香りと、タカノのディンブラにある木の実のような味わいがあり、一部ヌワラエリアに見られるスーッとした感じは少ない。
若葉の部位が多く、その味がよく生かされており、これはかなり好みの傾向。
渋みは少ない。
さすがスリランカものに強いティーハウス・タカノさんらしい、達意のセレクションである。
これで100g 1,000円、50g 530円というのは、紅茶としてはお得な部類だろう。
清風園さんのおくみどりの煎茶100g 880円がいかにお買い得かということも、あらためて分かるというものであるが・・・。
ストレート向き茶葉。
2012年7月6日金曜日
清風園 おくみどり 煎茶
「おくみどり」は玉露でも評価が高い品種で、久々に飲んだが凝縮された緑葉の味があり、「旨いなあ」と思わされる味であった。
良質の旨み・甘みで、例外的に3淹目してもなおおいしさがある。
新茶を一日でも早く収穫できるかが利益を左右するという日本茶業界において、晩生である特徴を持つという点で、おくみどりは不利のようだが、それを補って余りある素晴らしい品種だと思う。
ただ、どこまでが品種の味で、どこまでが肥料や被せの味なのか、まだまだ自分は分かっていないとも感じた。
おくみどりは今後積極的に飲んでゆきたい。
それにしても鹿児島は何でも作っていてチャレンジ精神がある。
前回清風園さんで八女を購入したときは袋が二重で驚いたが、今回は普通に一重であった。
今回も鮮度は充分に感じた。
880円/100gはかなりお得感がある。
ただ、火香は少し強いか。
最高級の茶葉というわけではないが、値段にして非常にお買い得な品質であるのは間違いない。
お店には蒸しが深いものが多く――本品も中蒸しくらいか――自分の好みからすると選ぶのに少々苦慮するが、またお邪魔させていただきたい。
2012年7月「清風園」にて購入
2012年6月26日火曜日
「清風園」八女茶
西荻窪「清風園」
西荻窪の清風園さんは、煎茶を見ると静岡茶が500円~1500円程度のものが7、8種類と圧倒的に多く、ほか「有機煎茶」「八女茶」「おくみどり」「宇治ブレンド」が各1種類あった。
静岡以外については、「有機」「産地」「やぶきた以外の品種」を一応揃えたという感じ。
これらプロパーのほかに、6/1~30限定で鹿児島茶フェアを行っていて、鹿児島茶が数種類あったが、これはあくまで期間限定。
大変親切に何種類も試飲させていただいた。
八女
お店としては明らかに静岡に力を入れている感じだが、八女茶を購入。
中~深蒸し程度か。
値段なりに茎がかなり入っており、茶葉の匂いをかいでも、実際に淹れてみても、茎の味はそれなりに目立つが、火香は目立たず、渋みが少なく、甘み旨みは健在と、値段の割に美味しいお茶といえる。
ただ、お湯の温度にかなり敏感で、熱いお湯では全く本領が発揮されず、ぬるいお湯でのみ良さが味わえた。
ほとんど深蒸しなため、水色は濃く、二杯目はかなりぼんやりした味である。
品種はやぶきた。
袋が2重になっていて驚いた。
年中無休で、お茶屋さんには珍しく夜10時まで営業。
2012年6月清風園
924円/100g
2012年6月8日金曜日
[番外編・紅茶]G clef 目白店
10年余り前は、リーフルなどと同じく吉祥寺に店を構える、数少ない紅茶専門店として名を知られていたG Clef(ジー・クレフ)さんも、今や数店舗を持つようになった。素晴らしいことである。
目白店にお邪魔してみた。
面白かったのは、アッサムやニルギリなどの品数をきちんと揃えているところだ。
紅茶店にはありがちなダージリン・スノッブにはなっていない。
ヌワラエリアやディンブラ、祁門などの紅茶のほか、台湾の烏龍茶もある。
紅茶やジャムも気軽に試飲・試食させていただける。
ロゴやシールなどの意匠、店の設えといったものが、一応は欧州風ながら、やや気の抜けたようなものになっていて、研ぎ澄まされた美意識とは違う、隙のある感じが微笑ましい。
目白店にお邪魔してみた。
面白かったのは、アッサムやニルギリなどの品数をきちんと揃えているところだ。
紅茶店にはありがちなダージリン・スノッブにはなっていない。
ヌワラエリアやディンブラ、祁門などの紅茶のほか、台湾の烏龍茶もある。
紅茶やジャムも気軽に試飲・試食させていただける。
ロゴやシールなどの意匠、店の設えといったものが、一応は欧州風ながら、やや気の抜けたようなものになっていて、研ぎ澄まされた美意識とは違う、隙のある感じが微笑ましい。
2012年6月1日金曜日
[番外編・紅茶]マレーシア Boh茶園 "Palas Supreme"
マレーシアのCameron HighlandsにあるBoh茶園の中でも"Palas Supreme"は最高級のものだそうだ。
どうやらアッサム種のようである。
インドのものほど揉捻されていない感じ、芽の部分が少ない。
茶葉の状態での香りは充分で、管理の良さを想像させる。
飲んでみると、見た目通りの味で、芽特有華やかな味・香りこそ乏しいものの、穏やかな味で鮮度も悪くない。
ストレートで飲むほうが合うようだが、芽の華やかさは乏しいので、宝瓶で玉露を飲むようなスタイルというよりも、番茶のようにある程度の量を飲むのが合うだろう。
渋みが少ないため、ミルクは合わせにくいところがあるが、ごく少量なら合いそうだ。
検索してみると、日本にも輸入している人がいて、外国のものに対する日本人のアンテナは本当に凄いものだと思う。
どうやらアッサム種のようである。
インドのものほど揉捻されていない感じ、芽の部分が少ない。
茶葉の状態での香りは充分で、管理の良さを想像させる。
飲んでみると、見た目通りの味で、芽特有華やかな味・香りこそ乏しいものの、穏やかな味で鮮度も悪くない。
ストレートで飲むほうが合うようだが、芽の華やかさは乏しいので、宝瓶で玉露を飲むようなスタイルというよりも、番茶のようにある程度の量を飲むのが合うだろう。
渋みが少ないため、ミルクは合わせにくいところがあるが、ごく少量なら合いそうだ。
検索してみると、日本にも輸入している人がいて、外国のものに対する日本人のアンテナは本当に凄いものだと思う。
2012年5月27日日曜日
両河内 普通蒸しやぶきた
2012年5月24日木曜日
狭山茶の起源――川越「中院」を訪ねる
埼玉県川越市の「中院」(天台宗別格本山)に、「河越茶」「狭山茶」の起源を記した石碑があった。
それによると、
そもそもお茶は、平安時代に最澄が中国の天台山国清寺から伝来し京都に栽培したのが始まりで、これを慈覚大師円仁和尚が830年、川越の仙波に星野山無量壽寺仏院建立に際し、比叡山より茶の実を携え、境内に薬用として栽培したのが、「河越茶」「狭山茶」の起源であるといった内容である(写真参照)。
日本における茶の起源についての記録としては諸説あるが、
西暦729年 奈良初期、天平の時代に聖武天皇がお茶を飲まれたことが 奥義抄(おくぎしょう)という書物に書かれているが、この奥義抄は、400年ほど後の、西暦1100年台に書かれた記録なので、信憑性に微妙なところがあるらしい。
また、西暦805年頃に中国から帰朝した最澄、同じく西暦806年頃空海が、お茶を飲んでいたと、伝えられているが、密教の言い伝えであり、記録がはっきりしないとのことである。
確実視される記録としては、平安初期の 『日本後記』 の記述で、弘仁6年(西暦815年)に、僧「永忠」(えいちょう)が近江の梵釈寺で嵯峨天皇にお茶を奉ったとの記載がある。
ただ、この永忠は、最澄と一緒に帰朝した留学僧であるので(つまり805年!)、永忠とともに最澄が日本にお茶を持ち込んだ可能性は、充分にあるといえるだろう。
また、英国人がインドのダージリンで中国種栽培を始めたが後になり自生種であるアッサム種が見つかった、というように、日本にも元々自生の在来種があったという説もあるが、上記のように奈良・平安ごろに帰朝した僧侶が持ち帰ったものが野生化した(帰化植物)という説も有力とされる。
これらを総合すると、必ずしも中院の石碑にあるように最澄が日本茶の元祖と断言し切れない部分もあるが、少なくとも、留学僧が日本に持ち込んだ茶が、寺院の建立に際し、寺院と共にこのように全国に広まっていったという流れ自体は、確実に存在したと思われる。
さて、この河越(川越)茶は、やがて、主な生産地を、現在の狭山市、入間市地区(狭山丘陵)としていった。
狭山丘陵は現在の狭山市と入間市にまたがっているが、特に入間市で栽培が盛んである。
鎌倉時代に武蔵国の狭山丘陵一帯で栽培されていたらしく、また、南北朝時代の書物『異制庭訓往来(いせいていきんおうらい)』に、「天下に指して言う所」の茶産地の一つとして「武蔵河越(むさしのかわごえ)」が登場するそうで、この時期には河越~狭山地域は既に有名な産地であったらしい。
江戸時代には、狭山丘陵一帯の村々が川越藩領であったことからも、「河越茶」と呼ばれたとのこと。
この近隣で昔から城があったのは河越(川越)くらいなので、全国的には狭山丘陵も川越地区といった認識だったのであろう。
ただ、そもそも伝来したのが、現在の区分でも川越市だったのである。
この「河越茶」が「狭山茶」として大々的に売り出したのは近代以降のことである。
石碑にある「仙波」は現在の川越市内の地名で、星野山(せいやさん)無量壽寺は、伏見天皇が尊海僧正に命じ関東天台宗の本山としたそうで、その中心にあったのがこの「中院」である。
星野山無量壽寺には北院、中院、南院があり、北側にあった「北院」が今日、「川越大師」として著名な「喜多院」である。
2012年5月6日日曜日
高知のお茶
去る1、2年前、高知県を訪問した思い出を記す。
碁石茶
「土佐茶」ともいう高知県のお茶というと、全国的に知られているのは「碁石茶」である。
世界的にも稀な「後醗酵茶」に分類され、どこから伝来したのか?という文化人類学的視点からも、注目されている。
ものすごい量の乳酸菌を含んでおり、しかもヨーグルトなど動物性の乳酸菌に比べ、植物性乳酸菌は体内へ吸収されやすいらしい。
酸味と不思議な渋みがあり、思ったより飲める。
昭和の終わりごろか、一時は生産農家が一軒にまでなったそうだが、関係者の尽力により価値が見直され、今日では高知に行くと、みやげもの店でも見ることができるようになった。
煎茶
今のところあまり知られていない気もするが、高知では仁淀川や四万十川上流域などを中心に、非常に淡く繊細な煎茶を作る。
甘みも渋みも少なく、青草のような味というか、とにかく特徴的な味である。
うまく淹れるのはかなり難しいが、特徴を活かして売ってほしい。
もしかしたら、肥料をがんがん入れ商業的になったらもっと売れ線の味になるのかもしれないが、それが良いのかどうかは分からない。
秩父帯の土は、煎茶作りに向いているのだとか。
番茶
高知を訪れたとき特に面白かったのは番茶文化が盛んなことである。
今でも普通のスーパーや地元の人が来る銭湯(温泉)に、当地の番茶や、今の分類では「茶」ではないがハブ茶等の「ハーブティー」などが、数多く並んでいるのを見て、非常に感銘を受けた。
また、高知出身で地元を離れ一人暮らしをする20代女性が飲んでいたお茶を見せていただいたら、実家から送ってきた番茶だった、ということもあった。
煎茶が番茶を圧倒してきた日本のここ100年であったが、今日でも高知では番茶文化が続いていて、伝統芸能や学問というのではなく、一般の人が日常的に飲んでいる。
碁石茶も番茶の役割だが、学問的に貴重な碁石茶以外にも、沢山の番茶があり、飲まれ続けている。
これは非常に貴重で面白いことなので、世に広まってほしい文化である。
2009年に「番茶のお店 ふりゅう」(福岡県)が創業されたようだが、21世紀は番茶がいっそう見直されることだろう。
碁石茶
「土佐茶」ともいう高知県のお茶というと、全国的に知られているのは「碁石茶」である。
世界的にも稀な「後醗酵茶」に分類され、どこから伝来したのか?という文化人類学的視点からも、注目されている。
ものすごい量の乳酸菌を含んでおり、しかもヨーグルトなど動物性の乳酸菌に比べ、植物性乳酸菌は体内へ吸収されやすいらしい。
酸味と不思議な渋みがあり、思ったより飲める。
昭和の終わりごろか、一時は生産農家が一軒にまでなったそうだが、関係者の尽力により価値が見直され、今日では高知に行くと、みやげもの店でも見ることができるようになった。
煎茶
今のところあまり知られていない気もするが、高知では仁淀川や四万十川上流域などを中心に、非常に淡く繊細な煎茶を作る。
甘みも渋みも少なく、青草のような味というか、とにかく特徴的な味である。
うまく淹れるのはかなり難しいが、特徴を活かして売ってほしい。
もしかしたら、肥料をがんがん入れ商業的になったらもっと売れ線の味になるのかもしれないが、それが良いのかどうかは分からない。
秩父帯の土は、煎茶作りに向いているのだとか。
番茶
高知を訪れたとき特に面白かったのは番茶文化が盛んなことである。
今でも普通のスーパーや地元の人が来る銭湯(温泉)に、当地の番茶や、今の分類では「茶」ではないがハブ茶等の「ハーブティー」などが、数多く並んでいるのを見て、非常に感銘を受けた。
また、高知出身で地元を離れ一人暮らしをする20代女性が飲んでいたお茶を見せていただいたら、実家から送ってきた番茶だった、ということもあった。
煎茶が番茶を圧倒してきた日本のここ100年であったが、今日でも高知では番茶文化が続いていて、伝統芸能や学問というのではなく、一般の人が日常的に飲んでいる。
碁石茶も番茶の役割だが、学問的に貴重な碁石茶以外にも、沢山の番茶があり、飲まれ続けている。
これは非常に貴重で面白いことなので、世に広まってほしい文化である。
2009年に「番茶のお店 ふりゅう」(福岡県)が創業されたようだが、21世紀は番茶がいっそう見直されることだろう。
2012年5月5日土曜日
「生仕上げ新茶」ゆたかみどり 鹿児島県田代町産
水分が多く日持ちしにくいというリスクを冒しながらも、3年かかって青臭いまでの昔の新茶の味を復活させた、思月園さんの名品である(『僕は日本茶のソムリエ』p37-42参照)。
新茶の季節にだけ味わえる、自分としては最も楽しみにしているお茶の一つ。
茶葉を見ると一見淡い緑色に驚くが、よく見ると、濃い芽のほうと淡い茎や大きな葉のほうとが混ざっている。
粗い唐箕のみ使っているのか、茎も多少入っている。
もちろんこれらは全て、「生茶仕上げ」と名づけられた青々とした味を出すための意図的な仕上げ。
春の気温上昇が遅かったことが影響しているのか、青々しさが凝縮された昨年よりも、気持ち日なたっぽい味がするかな・・・?
店主は昨年後半から体調を崩されてたらしく、お痩せになっていた。
店主の高宇さんは日本茶の宝。
どうかご無理をせず、末長く続けていただけたらと思う。
今年は静岡県産の新茶は販売ロットごとに放射能検査をした上で販売している点も良心的で素晴らしい。
ND(検出されず)の結果ばかりで一安心。
色々なことがあった昨年であったが、今年もまた素晴らしい新茶に出会えたことに感謝したい。
2012年5月思月園にて購入
新茶の季節にだけ味わえる、自分としては最も楽しみにしているお茶の一つ。
茶葉を見ると一見淡い緑色に驚くが、よく見ると、濃い芽のほうと淡い茎や大きな葉のほうとが混ざっている。
粗い唐箕のみ使っているのか、茎も多少入っている。
もちろんこれらは全て、「生茶仕上げ」と名づけられた青々とした味を出すための意図的な仕上げ。
春の気温上昇が遅かったことが影響しているのか、青々しさが凝縮された昨年よりも、気持ち日なたっぽい味がするかな・・・?
店主は昨年後半から体調を崩されてたらしく、お痩せになっていた。
店主の高宇さんは日本茶の宝。
どうかご無理をせず、末長く続けていただけたらと思う。
今年は静岡県産の新茶は販売ロットごとに放射能検査をした上で販売している点も良心的で素晴らしい。
ND(検出されず)の結果ばかりで一安心。
色々なことがあった昨年であったが、今年もまた素晴らしい新茶に出会えたことに感謝したい。
2012年5月思月園にて購入
2012年4月7日土曜日
[番外編・台湾茶]元祥茶業有限公司「阿里山金萱」
15年ぶりぐらい金萱を飲んだ。
封を切った瞬間に、ミルクの香りが爆発的に香ってきて、茶葉もよく丸まっている。
これはまじめに作られた上質なお茶。
台湾には誠実なお茶屋さんがたくさんあるようだ。
飲んでみると、ミルクの香りと同時に上品な緑の葉の味。
お茶だけで飲んでも素晴らしいが、蒸し野菜など、食事と合わせても合いそうである。
元祥茶業有限公司(元祥茗茶)
ちなみに私は何しろ「金萱」は15年ぶりぐらいで多くを語れないし、年によっても出来は違うとは思うのだが、こちらのサイトで元祥茶業さんのものを含む「金萱」の飲み比べ記事が書かれていて興味深かった。
封を切った瞬間に、ミルクの香りが爆発的に香ってきて、茶葉もよく丸まっている。
これはまじめに作られた上質なお茶。
台湾には誠実なお茶屋さんがたくさんあるようだ。
飲んでみると、ミルクの香りと同時に上品な緑の葉の味。
お茶だけで飲んでも素晴らしいが、蒸し野菜など、食事と合わせても合いそうである。
元祥茶業有限公司(元祥茗茶)
ちなみに私は何しろ「金萱」は15年ぶりぐらいで多くを語れないし、年によっても出来は違うとは思うのだが、こちらのサイトで元祥茶業さんのものを含む「金萱」の飲み比べ記事が書かれていて興味深かった。
2012年4月1日日曜日
中森製茶「楽」
中森製茶さんの「楽」は100g1500円であり、70g1000円の「極上煎茶」と同一かと思いきや、「楽」のほうがわずかに上のランクになるそうで、「極上煎茶」に「縁」が混ざっているとのことである。
生産者直営のお店は、その生産者がちゃんとしているならば、やはりかなりのコストパフォーマンスだと思う。
お店のおねえさんによると、「極上煎茶」「楽」「縁」いずれもかぶせ茶だが、「極上煎茶」よりも「縁」のほうが摘む時期が早いとのこと。
ということは、「縁」よりも「極上煎茶」や「楽」のほうがかぶせ香は強いということなのだろうか??
「楽」はすこしエッジがあるような味で、「縁」よりは香りが強い。
もうすぐ次の新茶が出るという時候がらか、真空パックでなく、パック詰め後は常温保存のせいか、老ねかけそうな雰囲気で、早く飲む必要がありそうだ。
この時期は、保存がしっかりとしていて、回転が早いお店を選ぶことが肝要だ。
生産者直営のお店は、その生産者がちゃんとしているならば、やはりかなりのコストパフォーマンスだと思う。
お店のおねえさんによると、「極上煎茶」「楽」「縁」いずれもかぶせ茶だが、「極上煎茶」よりも「縁」のほうが摘む時期が早いとのこと。
ということは、「縁」よりも「極上煎茶」や「楽」のほうがかぶせ香は強いということなのだろうか??
「楽」はすこしエッジがあるような味で、「縁」よりは香りが強い。
もうすぐ次の新茶が出るという時候がらか、真空パックでなく、パック詰め後は常温保存のせいか、老ねかけそうな雰囲気で、早く飲む必要がありそうだ。
この時期は、保存がしっかりとしていて、回転が早いお店を選ぶことが肝要だ。
2012年2月24日金曜日
お茶の品評会について調べてみました
日本茶の品評会としては、
全国茶品評会について
中でも、全国茶品評会は、2011年で65回を数える日本最大のお茶の品評会で、毎年全国のどこかで持ち回りで開催されている。
8月末ごろに「審査会」が行われ、9月末~10月頭ごろにそのお茶の「入札販売会」が行われているようである。
審査結果を見ると、開催地の出品や入賞が多く、正直、「国体」のようなところも感じる。
地元だから出品しやすかったり、奨励されたりというのもありそうだが、穿って見るなら、開催地の出品者(あるいは開催地の審査委員長)でなくて上位入賞しているのは真の実力者ともいえるのかもしれない。
「一等」は複数者
全国茶品評会の入賞を見ると、「順位」と「等級」があり、たとえば、「一等」「二等」「三等」は各一つではなく、各複数ある場合が多い。
こちらhttp://www.pref.saitama.lg.jp/page/housyoukitei.htmlによると、
それとは別に「順位」も公表される。
もしあくまで厳密にNo.1をさがすなら、「一等」ではなく「一等一席」ということになる。
「モンドセレクション金賞」など、「金賞」や「一等賞」がたくさんあることは時おり話題になっており、「金メダルや一位が一つである」と思っている人たちからすると違和感があるようだが、古くからあるヨーロッパの賞には複数の最高賞というのは少なくない。
日本茶の品評会も、時代背景を考えるとその流れを汲んでいるのではないかと想像する。
農林水産大臣賞がブランド
上位入賞者には
ただ、こちらhttp://www.fukuoka-yamecha.jp/whats/winning.htmlを見ると、「全国茶品評会」のみならず、「九州茶品評会」「福岡県茶共進会」でもトップになると「農林水産大臣賞」が与えられているので、「農林水産大臣賞受賞茶園」と言っても、どれで貰ったのか分からない。
「県一位」と「全国一位」は違うようにも思う。
もちろん、たとえば「東京都優良茶品評会」のような大消費地で開催される品評会の場合、東京産だけではなく、全国各地からの出品があり、単純に「都道府県一位でしかない」ということはできない。
が、「全国茶品評会」は規模の点でも歴史の長さからも飛びぬけていて、同じ賞で良いのかというのには、少々疑問もある。
地方品評会の可能性
「全国茶品評会」はたしかに最大規模なのだが、その一方で、より個性を求めるならば、違う楽しみ方もある。
たとえば、「関西茶品評会」や「宇治茶品評会」は、「全国茶品評会」よりも、近畿の人に好まれる傾向のお茶が多く集まる。
東京などの大消費地や、静岡や鹿児島のような大産地の品評会では難しいかもしれないが、地方の品評会にはそのような楽しみ方もある。
関西や宇治の品評会以外も、各地の個性が出ると更に面白いと思うが、そのためには個性を楽しんでくれる消費市場が一定規模見込めることが条件となりそうだ。
品評会の採点方法と市場評価
もともと品評会は、日本で「お茶」といえば、地域差が大きすぎる、今日で言う「番茶」が当然だった近代初期に、当時の主力輸出商品であった「煎茶」の技術・規格を全国的に標準化するという意図も大きかったらしい(『お茶は世界をかけめぐる』高宇政光著、筑摩書房刊、2006年)。
その名残あってか、直接「味」(香気+滋味)と関係が無い、「水色」(すいしょく)から「外観」(茶葉の色・形状)に至るまで審査基準となっていて、かなりの点数配分を与えられている。
たとえば煎茶の点数配分は
(年度によって若干配点の変更があるが、およそ例年このような配点。)
日本一をめぐって1点を争う大会で 配点の25%が味以外というのは、意外なほど多いように思う。
ここらへんが、評論家が基本的に味だけで点を付けるワインなどと違う点で、今後改善が必要な点なのかもしれない。
品評会の点数と入札者の市場評価がずれていることも多々あるとのことである。
点数配分や審査方法はこちらを参照。
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/sinsayouryou.html
情報が得にくい
それでも、点数で全国的にお茶を評するというのは、興味深い一大イヴェントである。
にしては2012年現在のところ品評会結果の情報をネットでまとめて見ることができない。
どうも開催地の担当なのか、開催県が思い思いの様式でウェブ上に掲載しているが、例えば過去5年のデータをまとめて見たいときなどに苦労する状態になっている。
また農協単位で動いている生産者が多いせいか、生産者本人のお茶が思いのほか買いにくく、産地や農協単位に溶けて消えてゆく例が多いのも惜しい。
たとえば、上位入賞者の名前や組合名で検索しても、お茶が買えるところまでなかなか辿り着けない。
また、「お茶離れ」などと言われるわりに、宣伝活動が業界内に留まっていてる感がある。
たとえば、将棋のタイトル戦を「ニコニコ動画」で中継しているのを見たら、プロが実況解説して視聴者がリアルタイムでコメントをつけてゆく様子が大変面白かったのだが、日本茶の世界でも、工夫次第ではコストをそんなにかけずに世にアピールしてゆくことが可能だろう。
10年前にはお茶屋さんのウェブ・サイトなど数えるほどしかなかったのを考えると、10年後には品評会がもっと国民の多くが注目する大会に育つ可能性だってある。
もちろん、99%以上のフランス人がボルドーの一級シャトーのワインを毎日飲んでいるわけではないしその必要もないのと同じように、日本人も、普通の人が品評会上位入賞の日本茶を毎日飲んでいるわけでもない。
しかし、たまにでも「高くて美味しいお茶」を飲むことは、感性を深める、とても素晴らしい経験になるだろう。
日本一のお茶を決める一大イヴェント、今後も注目・応援してゆきたい。
- 全国茶品評会
- 関西茶品評会
- 九州茶品評会
- 東京都優良茶品評会
- 静岡県茶品評会
- 京都府茶品評会
- 福岡県茶共進会
全国茶品評会について
中でも、全国茶品評会は、2011年で65回を数える日本最大のお茶の品評会で、毎年全国のどこかで持ち回りで開催されている。
8月末ごろに「審査会」が行われ、9月末~10月頭ごろにそのお茶の「入札販売会」が行われているようである。
審査結果を見ると、開催地の出品や入賞が多く、正直、「国体」のようなところも感じる。
地元だから出品しやすかったり、奨励されたりというのもありそうだが、穿って見るなら、開催地の出品者(あるいは開催地の審査委員長)でなくて上位入賞しているのは真の実力者ともいえるのかもしれない。
「一等」は複数者
全国茶品評会の入賞を見ると、「順位」と「等級」があり、たとえば、「一等」「二等」「三等」は各一つではなく、各複数ある場合が多い。
こちらhttp://www.pref.saitama.lg.jp/page/housyoukitei.htmlによると、
- 一等賞 出品点数の 5%以内
- 二等賞 出品点数の10%以内
- 三等賞 出品点数の15%以内
それとは別に「順位」も公表される。
もしあくまで厳密にNo.1をさがすなら、「一等」ではなく「一等一席」ということになる。
「モンドセレクション金賞」など、「金賞」や「一等賞」がたくさんあることは時おり話題になっており、「金メダルや一位が一つである」と思っている人たちからすると違和感があるようだが、古くからあるヨーロッパの賞には複数の最高賞というのは少なくない。
日本茶の品評会も、時代背景を考えるとその流れを汲んでいるのではないかと想像する。
農林水産大臣賞がブランド
上位入賞者には
- 農林水産大臣賞
- 農林水産省生産局長賞
- 社団法人日本茶業中央会会長賞
- 全国茶生産団体連合会会長賞
- 全国茶商工業協同組合連合会理事長賞
ただ、こちらhttp://www.fukuoka-yamecha.jp/whats/winning.htmlを見ると、「全国茶品評会」のみならず、「九州茶品評会」「福岡県茶共進会」でもトップになると「農林水産大臣賞」が与えられているので、「農林水産大臣賞受賞茶園」と言っても、どれで貰ったのか分からない。
「県一位」と「全国一位」は違うようにも思う。
もちろん、たとえば「東京都優良茶品評会」のような大消費地で開催される品評会の場合、東京産だけではなく、全国各地からの出品があり、単純に「都道府県一位でしかない」ということはできない。
が、「全国茶品評会」は規模の点でも歴史の長さからも飛びぬけていて、同じ賞で良いのかというのには、少々疑問もある。
地方品評会の可能性
「全国茶品評会」はたしかに最大規模なのだが、その一方で、より個性を求めるならば、違う楽しみ方もある。
たとえば、「関西茶品評会」や「宇治茶品評会」は、「全国茶品評会」よりも、近畿の人に好まれる傾向のお茶が多く集まる。
東京などの大消費地や、静岡や鹿児島のような大産地の品評会では難しいかもしれないが、地方の品評会にはそのような楽しみ方もある。
関西や宇治の品評会以外も、各地の個性が出ると更に面白いと思うが、そのためには個性を楽しんでくれる消費市場が一定規模見込めることが条件となりそうだ。
品評会の採点方法と市場評価
もともと品評会は、日本で「お茶」といえば、地域差が大きすぎる、今日で言う「番茶」が当然だった近代初期に、当時の主力輸出商品であった「煎茶」の技術・規格を全国的に標準化するという意図も大きかったらしい(『お茶は世界をかけめぐる』高宇政光著、筑摩書房刊、2006年)。
その名残あってか、直接「味」(香気+滋味)と関係が無い、「水色」(すいしょく)から「外観」(茶葉の色・形状)に至るまで審査基準となっていて、かなりの点数配分を与えられている。
たとえば煎茶の点数配分は
香気 75点
水色 30点
滋味 75点
外観 20点
合計200点であり、「水色」と「外観」が50点、つまり全体の25%を占めている。
(年度によって若干配点の変更があるが、およそ例年このような配点。)
日本一をめぐって1点を争う大会で 配点の25%が味以外というのは、意外なほど多いように思う。
ここらへんが、評論家が基本的に味だけで点を付けるワインなどと違う点で、今後改善が必要な点なのかもしれない。
品評会の点数と入札者の市場評価がずれていることも多々あるとのことである。
点数配分や審査方法はこちらを参照。
http://www.pref.saitama.lg.jp/page/sinsayouryou.html
情報が得にくい
それでも、点数で全国的にお茶を評するというのは、興味深い一大イヴェントである。
にしては2012年現在のところ品評会結果の情報をネットでまとめて見ることができない。
どうも開催地の担当なのか、開催県が思い思いの様式でウェブ上に掲載しているが、例えば過去5年のデータをまとめて見たいときなどに苦労する状態になっている。
また農協単位で動いている生産者が多いせいか、生産者本人のお茶が思いのほか買いにくく、産地や農協単位に溶けて消えてゆく例が多いのも惜しい。
たとえば、上位入賞者の名前や組合名で検索しても、お茶が買えるところまでなかなか辿り着けない。
また、「お茶離れ」などと言われるわりに、宣伝活動が業界内に留まっていてる感がある。
たとえば、将棋のタイトル戦を「ニコニコ動画」で中継しているのを見たら、プロが実況解説して視聴者がリアルタイムでコメントをつけてゆく様子が大変面白かったのだが、日本茶の世界でも、工夫次第ではコストをそんなにかけずに世にアピールしてゆくことが可能だろう。
10年前にはお茶屋さんのウェブ・サイトなど数えるほどしかなかったのを考えると、10年後には品評会がもっと国民の多くが注目する大会に育つ可能性だってある。
- 審査基準を「殖産興業」的なものから「味本位」に現代化する
- 日本茶の一大イヴェントである品評会をもっと多くの人の知るものとする
- 情報をまとめたサイトを作る
- 各品評会の個性を楽しむ
もちろん、99%以上のフランス人がボルドーの一級シャトーのワインを毎日飲んでいるわけではないしその必要もないのと同じように、日本人も、普通の人が品評会上位入賞の日本茶を毎日飲んでいるわけでもない。
しかし、たまにでも「高くて美味しいお茶」を飲むことは、感性を深める、とても素晴らしい経験になるだろう。
日本一のお茶を決める一大イヴェント、今後も注目・応援してゆきたい。
中森製茶「縁」
2012年2月、銀座三越にて100g 2,100円
中森製茶さんが銀座三越の「三重フェア」に出展されるということで、足を運んだ。
特別品の手揉み茶(10gで3,000円)は別格として、通常品では最高級だった70g 1,000円の「極上煎茶」を上回る、100g 2,000円の「縁」(えん)というものが出ていたので、購入させていただいた。
こちらもかぶせ茶。
中森製茶さんのかぶせ茶は、かぶせ香が強すぎないバランスが絶妙なのだが、かぶせ期間が長すぎるとお茶の樹が弱るので、短めにしているとのこと。
100g 2,000円の「縁」は、同1,500円のものに比べてより芽の部分が多く、よりヌルッとした味をしていた。
1,500円のほうが「葉の味」だとすれば、2,000円のほうは「芽の味」が明らかに増加している。
ただ、「走り」の新茶のような芽の味とは違って、冷温保存を経ているのと、かぶせ茶にしているのとで、新茶の華やかな香りは無く、「落ち着いた高級部位の味」という感がある。
水色(すいしょく)がかなり濃い緑なのも特徴といえるだろう。
中森製茶さんが銀座三越の「三重フェア」に出展されるということで、足を運んだ。
特別品の手揉み茶(10gで3,000円)は別格として、通常品では最高級だった70g 1,000円の「極上煎茶」を上回る、100g 2,000円の「縁」(えん)というものが出ていたので、購入させていただいた。
こちらもかぶせ茶。
中森製茶さんのかぶせ茶は、かぶせ香が強すぎないバランスが絶妙なのだが、かぶせ期間が長すぎるとお茶の樹が弱るので、短めにしているとのこと。
100g 2,000円の「縁」は、同1,500円のものに比べてより芽の部分が多く、よりヌルッとした味をしていた。
1,500円のほうが「葉の味」だとすれば、2,000円のほうは「芽の味」が明らかに増加している。
ただ、「走り」の新茶のような芽の味とは違って、冷温保存を経ているのと、かぶせ茶にしているのとで、新茶の華やかな香りは無く、「落ち着いた高級部位の味」という感がある。
水色(すいしょく)がかなり濃い緑なのも特徴といえるだろう。
2012年2月21日火曜日
森半 宇治茶 コーカ共同製茶(京都府相楽郡南山城村大字高尾)
2012年2月、スーパー"OK"にて購入、100g約700円
スーパー「オーケー」のタグ記載よると、「100g1000円の品」だそうである。
「森半」(もりはん)は天保年間創業、とのことで、販売者「共栄製茶」さんの登録商標だそうだ。
やはり、スーパーやデパート特売のお茶にありがちな、老ねた酸っぱい香りが気になる。
茶葉は高級部位から安い部位まで万遍なく入っている感じだが、茎は除かれている。
蒸しは中ぐらいか。
火香はそんなでもない感じだが、とにかく酸っぱい。
旨みはそこそこある。
意外なのは、冷めきって水の温度になったときには酸っぱさが消えて旨みが残り美味しいことだった。
安いので仕方ないのかもしれないが、嬉野の「茶舗 多与安」さんの釜炒り茶は100g800円で美味しかったのを考えると、やはり割高に感じてしまう。
スーパー「オーケー」のタグ記載よると、「100g1000円の品」だそうである。
「森半」(もりはん)は天保年間創業、とのことで、販売者「共栄製茶」さんの登録商標だそうだ。
やはり、スーパーやデパート特売のお茶にありがちな、老ねた酸っぱい香りが気になる。
茶葉は高級部位から安い部位まで万遍なく入っている感じだが、茎は除かれている。
蒸しは中ぐらいか。
火香はそんなでもない感じだが、とにかく酸っぱい。
旨みはそこそこある。
意外なのは、冷めきって水の温度になったときには酸っぱさが消えて旨みが残り美味しいことだった。
安いので仕方ないのかもしれないが、嬉野の「茶舗 多与安」さんの釜炒り茶は100g800円で美味しかったのを考えると、やはり割高に感じてしまう。
2012年1月20日金曜日
[番外編・紅茶]アッサム 新宿高野の思い出
ダージリンがマスカットのような香りだとすれば、本当に美味しいアッサムは、蜂蜜のような香りがして、非常においしかった。
スリランカ系とはまた違う、ミルクティーの一つの終着点といえるような味であった。
かつて新宿高野(本店)には、インド人のスタッフと、専門の日本人スタッフが常駐し、そういう茶葉を10gから量り売りしてくれた。
試飲もさせてくれた。
今ではなくなってしまったのがまことに惜しい。
ダージリンに力を入れる店は数多いが、良いアッサムを売っているお店はなかなか無いのである。
アッサムは単一茶園ものでも、ダージリンよりは遥かに安価でお買い得感があった。
ちなみに新宿高野には良いニルギリもあって、ニルギリは地理的にも味的にもディンブラなどスリランカに近くて、とてもマニアックだった。
売り場が縮小した2012年1月現在も、ニルギリなどが置いてあって嬉しかった。
この売り場の真価は、10年以上前、20世紀の時分にはなかなか理解できる人がいなかったかもしれないが、ネットが普及した今だったら、また違った需要があるのではないかと思う。
このマニアックさは、一部リーフルにも通ずる部分があるようで、今では同じ新宿にリーフルの伊勢丹店・ナヴァラサがあるので、久々に高級アッサムを味わってみたいと思い訪問してみた。
・・・が、ナヴァラサは紅茶スノッブの常か、圧倒的にダージリン系志向で、2012年1月現在、アッサムは申し訳程度にCTCが一種と、フラワリー・グレードが一種しかないのだった。
おまけにお店のお姉さんにCTCを勧められて、紅茶界におけるアッサムの扱いの低さ、アッサムが好きな人の扱いの低さを感じたのであった。
スリランカ系とはまた違う、ミルクティーの一つの終着点といえるような味であった。
かつて新宿高野(本店)には、インド人のスタッフと、専門の日本人スタッフが常駐し、そういう茶葉を10gから量り売りしてくれた。
試飲もさせてくれた。
今ではなくなってしまったのがまことに惜しい。
ダージリンに力を入れる店は数多いが、良いアッサムを売っているお店はなかなか無いのである。
アッサムは単一茶園ものでも、ダージリンよりは遥かに安価でお買い得感があった。
ちなみに新宿高野には良いニルギリもあって、ニルギリは地理的にも味的にもディンブラなどスリランカに近くて、とてもマニアックだった。
売り場が縮小した2012年1月現在も、ニルギリなどが置いてあって嬉しかった。
この売り場の真価は、10年以上前、20世紀の時分にはなかなか理解できる人がいなかったかもしれないが、ネットが普及した今だったら、また違った需要があるのではないかと思う。
このマニアックさは、一部リーフルにも通ずる部分があるようで、今では同じ新宿にリーフルの伊勢丹店・ナヴァラサがあるので、久々に高級アッサムを味わってみたいと思い訪問してみた。
・・・が、ナヴァラサは紅茶スノッブの常か、圧倒的にダージリン系志向で、2012年1月現在、アッサムは申し訳程度にCTCが一種と、フラワリー・グレードが一種しかないのだった。
おまけにお店のお姉さんにCTCを勧められて、紅茶界におけるアッサムの扱いの低さ、アッサムが好きな人の扱いの低さを感じたのであった。
[番外編・紅茶]ティー・ハウス・タカノ、ディンブラBOP & ウヴァ ハイランド茶園
1974年に東京初の紅茶専門喫茶店としてスタートした、まさに「草分け」という名が相応しい、ティーハウス・タカノ。
価値観がまだ多様ではなく、「喫茶店といえば珈琲」が当然だった当時、珈琲が無くて紅茶のみの喫茶店は、苦労なさったとも聞く。
誰もやらなかったことを成し遂げたからこそ今日の老舗がある。
喫茶店であるだけではなく、茶葉やティーポット等も購入可能である。
ティーポットは購入してみたことがあるが、考え抜かれており非常に使いやすい。
世では紅茶というとダージリンが断然ブランド化しているが、こちらはダージリン(インド)よりもスリランカ系、しかも日常飲めるような値段のものに力を入れておられる。
特にお店の標準ミルクティーとなっているディンブラ BOPは、普段着のミルクティー用茶葉として、一つの理想像だと思う。
繊細でフルーティーな香りはさすがに少ないが、木の実のような味が混ざっていて、これが美味しい。
ロットの誤差も少なく味も安定している。
ミルクティーを考えるときはメートル原器のようにいつも比較基準にしている。
また、スコーンも絶品である。
お店を訪れた際、久々に気分転換をしたくなってウヴァを飲んでみることにした。
ウヴァというとメンソール系の香りが特徴とされるが、本品は、かすかに上品に漂うにとどまり、繊細な味。ストレートでもミルクでもゆけそうで、ミルクでは少しパンチが足りないくらいなので、入れすぎないように注意したい。
ただ、日本の高級煎茶や高級ダージリンのようにフルーティーさ爆発とはゆかない。
茶葉で購入したときの値段
ディンブラ ラクサパナBOP(100g 600円、50g 330円)
ウヴァ ハイランド茶園50g630円
2012年1月
価値観がまだ多様ではなく、「喫茶店といえば珈琲」が当然だった当時、珈琲が無くて紅茶のみの喫茶店は、苦労なさったとも聞く。
誰もやらなかったことを成し遂げたからこそ今日の老舗がある。
喫茶店であるだけではなく、茶葉やティーポット等も購入可能である。
ティーポットは購入してみたことがあるが、考え抜かれており非常に使いやすい。
世では紅茶というとダージリンが断然ブランド化しているが、こちらはダージリン(インド)よりもスリランカ系、しかも日常飲めるような値段のものに力を入れておられる。
特にお店の標準ミルクティーとなっているディンブラ BOPは、普段着のミルクティー用茶葉として、一つの理想像だと思う。
繊細でフルーティーな香りはさすがに少ないが、木の実のような味が混ざっていて、これが美味しい。
ロットの誤差も少なく味も安定している。
ミルクティーを考えるときはメートル原器のようにいつも比較基準にしている。
また、スコーンも絶品である。
お店を訪れた際、久々に気分転換をしたくなってウヴァを飲んでみることにした。
ウヴァというとメンソール系の香りが特徴とされるが、本品は、かすかに上品に漂うにとどまり、繊細な味。ストレートでもミルクでもゆけそうで、ミルクでは少しパンチが足りないくらいなので、入れすぎないように注意したい。
ただ、日本の高級煎茶や高級ダージリンのようにフルーティーさ爆発とはゆかない。
茶葉で購入したときの値段
ディンブラ ラクサパナBOP(100g 600円、50g 330円)
ウヴァ ハイランド茶園50g630円
2012年1月
三重県四日市市森光久製造 品種:やまかい
三重県四日市市森光久製造 品種:やまかい
全国品評会出品
2011年12月 思月園 100g1260円
また三重のお茶。
一見して上質なお茶である。茶葉の緑が濃く、細く撚られている。この価格帯では理想的な見た目だろう。
そして茶を淹れると、薄めの緑に変化し、若い葉も多い。
旨み成分はかなり多いのだが、「やまかい」という品種のせいか、「べにふうき」あるいは「ゆたかみどり」にも似た独特の臭みのような香りがある。
「やまかい(山峡)」という名は、新芽や製茶の色が山の茶らしいことからついたそうで、やぶきたの自然交雑実生から選抜され、試験を経て1967年に品種となったとのこと。
約45年前の大人が付けた、美しい名である。
この品種は、「べにふうき(紅富貴)」の1/3~1/4程度だそうだが、「メチル化カテキン」が含まれており、花粉症対策としても期待できるらしい。
全国品評会出品
2011年12月 思月園 100g1260円
また三重のお茶。
一見して上質なお茶である。茶葉の緑が濃く、細く撚られている。この価格帯では理想的な見た目だろう。
そして茶を淹れると、薄めの緑に変化し、若い葉も多い。
旨み成分はかなり多いのだが、「やまかい」という品種のせいか、「べにふうき」あるいは「ゆたかみどり」にも似た独特の臭みのような香りがある。
「やまかい(山峡)」という名は、新芽や製茶の色が山の茶らしいことからついたそうで、やぶきたの自然交雑実生から選抜され、試験を経て1967年に品種となったとのこと。
約45年前の大人が付けた、美しい名である。
この品種は、「べにふうき(紅富貴)」の1/3~1/4程度だそうだが、「メチル化カテキン」が含まれており、花粉症対策としても期待できるらしい。
2012年1月1日日曜日
中森製茶「極上煎茶」
中森製茶「極上煎茶」70g 1,000円
2011年12月
三重県は北部が高級茶産地で知られるが、南部は庶民的なお茶が多いのだそうだ。
中森製茶さんは南に位置するそうだが、本品は高級ラインで、かぶせ茶になっている。
伊勢茶の特徴は葉肉が厚いことだそうで、本品は始めとにかく渋みが出やすかったが、
慣れてきたら、鮮度香、濃厚な旨み成分、高級部位の繊細さと控えめな覆い香が一体となり、「旨い!」とうなるような味が出せるようになった。
硬度が10mgしかない熊野の水と合わせてみたところ、こういうのはあまり信じていないほうなのだが、三重県タッグということでか、さすがに良かった。
「かぶせ茶」でも覆い香は少なめで、普通の煎茶寄りの味わいの中に、青々とした味が在る。
このバランスは好きだ。
ただ、青々とした味のトレード・オフ関係というべきか、やや水っぽいというか香りに欠ける感じもあるか。
品評会に出るお茶とは路線が異なるような気がするが、好きなお茶である。
品種はやぶきた。蒸しは普通から中蒸しぐらい、火香も普通かやや弱めか。
(ただし、同社のこれより下のランクになると、火香が非常に強かった。)
芽の部分もなかなか多く入っている。
二淹目まで味がしっかり残っている傾向があるのも素晴らしい。
パック詰めは空気を抜いていないので、酸化には注意が必要か。
中森製茶さんは、有楽町の東京交通会館に支店を出されており、このビルは各都道府県のアンテナショップが沢山入っていて、とても面白い。
三重県のアンテナショップは東京には無いそうだが、常滑焼と共に急須で名高い四日市の万古焼は、もっと多くの人に知られて良いのではないかと思う。
また、中森製茶さんは国連大学のファーマーズ・マーケットや都内デパートにも時折出展されているようである。
2011年12月
三重県は北部が高級茶産地で知られるが、南部は庶民的なお茶が多いのだそうだ。
中森製茶さんは南に位置するそうだが、本品は高級ラインで、かぶせ茶になっている。
伊勢茶の特徴は葉肉が厚いことだそうで、本品は始めとにかく渋みが出やすかったが、
慣れてきたら、鮮度香、濃厚な旨み成分、高級部位の繊細さと控えめな覆い香が一体となり、「旨い!」とうなるような味が出せるようになった。
硬度が10mgしかない熊野の水と合わせてみたところ、こういうのはあまり信じていないほうなのだが、三重県タッグということでか、さすがに良かった。
「かぶせ茶」でも覆い香は少なめで、普通の煎茶寄りの味わいの中に、青々とした味が在る。
このバランスは好きだ。
ただ、青々とした味のトレード・オフ関係というべきか、やや水っぽいというか香りに欠ける感じもあるか。
品評会に出るお茶とは路線が異なるような気がするが、好きなお茶である。
品種はやぶきた。蒸しは普通から中蒸しぐらい、火香も普通かやや弱めか。
(ただし、同社のこれより下のランクになると、火香が非常に強かった。)
芽の部分もなかなか多く入っている。
二淹目まで味がしっかり残っている傾向があるのも素晴らしい。
パック詰めは空気を抜いていないので、酸化には注意が必要か。
中森製茶さんは、有楽町の東京交通会館に支店を出されており、このビルは各都道府県のアンテナショップが沢山入っていて、とても面白い。
三重県のアンテナショップは東京には無いそうだが、常滑焼と共に急須で名高い四日市の万古焼は、もっと多くの人に知られて良いのではないかと思う。
また、中森製茶さんは国連大学のファーマーズ・マーケットや都内デパートにも時折出展されているようである。
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