去る1、2年前、高知県を訪問した思い出を記す。
碁石茶
「土佐茶」ともいう高知県のお茶というと、全国的に知られているのは「碁石茶」である。
世界的にも稀な「後醗酵茶」に分類され、どこから伝来したのか?という文化人類学的視点からも、注目されている。
ものすごい量の乳酸菌を含んでおり、しかもヨーグルトなど動物性の乳酸菌に比べ、植物性乳酸菌は体内へ吸収されやすいらしい。
酸味と不思議な渋みがあり、思ったより飲める。
昭和の終わりごろか、一時は生産農家が一軒にまでなったそうだが、関係者の尽力により価値が見直され、今日では高知に行くと、みやげもの店でも見ることができるようになった。
煎茶
今のところあまり知られていない気もするが、高知では仁淀川や四万十川上流域などを中心に、非常に淡く繊細な煎茶を作る。
甘みも渋みも少なく、青草のような味というか、とにかく特徴的な味である。
うまく淹れるのはかなり難しいが、特徴を活かして売ってほしい。
もしかしたら、肥料をがんがん入れ商業的になったらもっと売れ線の味になるのかもしれないが、それが良いのかどうかは分からない。
秩父帯の土は、煎茶作りに向いているのだとか。
番茶
高知を訪れたとき特に面白かったのは番茶文化が盛んなことである。
今でも普通のスーパーや地元の人が来る銭湯(温泉)に、当地の番茶や、今の分類では「茶」ではないがハブ茶等の「ハーブティー」などが、数多く並んでいるのを見て、非常に感銘を受けた。
また、高知出身で地元を離れ一人暮らしをする20代女性が飲んでいたお茶を見せていただいたら、実家から送ってきた番茶だった、ということもあった。
煎茶が番茶を圧倒してきた日本のここ100年であったが、今日でも高知では番茶文化が続いていて、伝統芸能や学問というのではなく、一般の人が日常的に飲んでいる。
碁石茶も番茶の役割だが、学問的に貴重な碁石茶以外にも、沢山の番茶があり、飲まれ続けている。
これは非常に貴重で面白いことなので、世に広まってほしい文化である。
2009年に「番茶のお店 ふりゅう」(福岡県)が創業されたようだが、21世紀は番茶がいっそう見直されることだろう。
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