今年のお茶は・・・
一保堂さんではなくて全体的な傾向を言うと、今年の日本の煎茶は、幾つかの例外を除いて、非常に厳しい出来であると思う。
2015>>2016>>>>>>>>>>2017
という印象を受ける。
この備忘録を始めた2010年から、記憶にある限りでは、最も出来の悪い年と言えるのではないだろうか。
それくらい外れのお茶が多い。
昨年まで美味しかった銘柄も本年は壊滅しているという例がたくさんある。
ワインでは当たり年は安いものを飲んで、外れの年は高いものを飲むという人が多いと聞く。
それと同じように、外れ年でも一定の水準が維持されることを期待して、日本茶でも今年は1500円~2000円(100g、本体)くらいの、一般的には「高め」と言われるお茶を数多く飲んできたが、それでもバランスの崩れたお茶が大変多かった。
良いバランス
そんな中、頂きもので飲んだこちらの一保堂「煎茶 日月」は100g 1000円+税で、外観はたしかに1000~1200円程度のものに見えるが、味は旨み渋味が偏重することなくバランスが良い。
正確にいうなら、昨年、一昨年の「煎茶 日月」は飲んでいないので、その部分の比較はできないのだが、本年の他のお茶と比べる限りでは、間違いなくバランスが良かった。
すなわち、アミノ酸的旨みに偏らず、葉などの複雑な味が程よく混ざり、ほのかに被せ香も感じる。
チェーン展開の一保堂さんゆえ酸っぱく感じる寸前まで乾燥させているが、いやらしい火香とは違うように感じる。
もしかすると、このまま熟成させたら面白いかもしれない。
不作の今年にあってこのバランスを保っていることに拍手喝采を送りたい。
2017年12月22日金曜日
2017年12月5日火曜日
当地で人気の「かねき伊藤彦市商店」さんとは - 特上煎茶
亀山市関町の「かねき伊藤彦市商店」さんは、三重の北側、亀山市や四日市市の人と話すとしばしば推薦を受ける。
幾つか飲んでみたが、特にこの「特上煎茶」(100g 1000円+税)は、予備知識無しに飲んだらどこのお茶か当てる自信が全くない、スタンダードなお茶作りであると感じた。
すなわち火入れが強めで乾燥していて、芽と葉が適度に混ざり、旨みも少し多めだが標準の範囲内。これぞ100g1,000という感じのお茶だ。
「茶審査技術 十段」の仕上げたお茶とのことである。
かねき伊藤彦市商店さんはほかにも「農薬不使用」や「樹齢百年以上の在来種」などにも取り組まれているが、そのような肩書に影響され多くの人が推薦しているのだろう。
文言を取り払い、目を瞑って色々なお茶を飲んだときに何が見えるだろうか。
幾つか飲んでみたが、特にこの「特上煎茶」(100g 1000円+税)は、予備知識無しに飲んだらどこのお茶か当てる自信が全くない、スタンダードなお茶作りであると感じた。
すなわち火入れが強めで乾燥していて、芽と葉が適度に混ざり、旨みも少し多めだが標準の範囲内。これぞ100g1,000という感じのお茶だ。
「茶審査技術 十段」の仕上げたお茶とのことである。
かねき伊藤彦市商店さんはほかにも「農薬不使用」や「樹齢百年以上の在来種」などにも取り組まれているが、そのような肩書に影響され多くの人が推薦しているのだろう。
文言を取り払い、目を瞑って色々なお茶を飲んだときに何が見えるだろうか。
2017年12月2日土曜日
2017年12月1日金曜日
空気に馴染んで火入れも許容範囲に?- 中森製茶「特選 伊勢茶」
三重県度会郡の中森製茶さんの東京店では100g, 70g, 50g袋がそれぞれ1,000+消費税
で販売されている。
購入した50gの「特選 伊勢茶」は100gで2,000円に相当するといえる。
中深蒸し程度の茶葉に芽がふんだんに含まれているが、飲んでみての第一印象は「茶葉は良いが火入れが強いなあ!」であった。
しかし、開封後しばらくして空気が馴染んでくると、火香が飛んだのか、それほど気にならなくなってきた。
被せ期間がそれなりにあるのか、青々とした茶葉の良さも感じる。
三重や岐阜のお茶は100g 2,000円の価格帯でも、出品茶でないものに関しては、細く撚らないで粉砕されたような茶葉が多い。この地域の普段着の高級茶の形を見る思いで興味深い。
火入れの強さはやや気になるものの、関西のお茶など今年は出来が非常に悪いものが多い中、こちらのお茶は茶葉に関して一定の水準を保っていると思う。
で販売されている。
購入した50gの「特選 伊勢茶」は100gで2,000円に相当するといえる。
中深蒸し程度の茶葉に芽がふんだんに含まれているが、飲んでみての第一印象は「茶葉は良いが火入れが強いなあ!」であった。
しかし、開封後しばらくして空気が馴染んでくると、火香が飛んだのか、それほど気にならなくなってきた。
被せ期間がそれなりにあるのか、青々とした茶葉の良さも感じる。
三重や岐阜のお茶は100g 2,000円の価格帯でも、出品茶でないものに関しては、細く撚らないで粉砕されたような茶葉が多い。この地域の普段着の高級茶の形を見る思いで興味深い。
火入れの強さはやや気になるものの、関西のお茶など今年は出来が非常に悪いものが多い中、こちらのお茶は茶葉に関して一定の水準を保っていると思う。
2017年8月12日土曜日
火香の強い宇治茶 - 祇園辻利「八坂」
祇園辻利さんの「八坂」は96gで1,500円+税で、中途半端な重さはほかにも京都のお茶で見たが、袋が4gなのだろうか。あまり普及しないでほしい計り方だが、100gだと1,562円+税となる。
茶葉の外観は1,562円でも決して高くない素晴らしいもの。
味は、宇治らしい濃厚な旨みだが、かぶせ香もかなりある。
肥料も多そうだ。
何より特徴なのは火入れがかなり強いこと。
一保堂さんの茶葉もかなり乾燥させていると感じるが、火香が強いのとはまた違った。
火入れの仕方もいろいろあるのだろう。
こちら祇園辻利さんの「八坂」は乾燥ではなく火香が強い。
この茶葉で火香を抑えたものを飲んでみたいという気持ちになる。
「八坂」と名前を付けるのは、東京で言ったら「浅草」と付けるぐらいベタな印象を受けるがこれいかに。
茶葉の外観は1,562円でも決して高くない素晴らしいもの。
味は、宇治らしい濃厚な旨みだが、かぶせ香もかなりある。
肥料も多そうだ。
何より特徴なのは火入れがかなり強いこと。
一保堂さんの茶葉もかなり乾燥させていると感じるが、火香が強いのとはまた違った。
火入れの仕方もいろいろあるのだろう。
こちら祇園辻利さんの「八坂」は乾燥ではなく火香が強い。
この茶葉で火香を抑えたものを飲んでみたいという気持ちになる。
「八坂」と名前を付けるのは、東京で言ったら「浅草」と付けるぐらいベタな印象を受けるがこれいかに。
2017年8月8日火曜日
今年は未だ出会わず - 新生わたらい茶 初摘み新茶 100g 1,296 円
「新生わたらい茶」さんの本年度産の煎茶は、すでに生活クラブ取扱のものを含め何種類も飲んでいるのだが、とにかく各々仕上げが全く異なっていて、新茶なのに火入れし過ぎというのものあれば、えぐみを残したものもあり、とにかく安定しないというか仕上げに一貫性が無い。
今年の生活クラブのものも、最初のロットは普通だったが、二回目のロットはやたらに火入れが強かった。
この数年飲んできたが、同じ銘柄でも葉の選別や火入れの仕方など、すごく振れ幅が大きいというのが結論である。
その振れ方がうまく作用したときには非常に美味しいものができるので購入を続けてきたが、今年はまだ出会わない。
今年の「初摘み新茶」は非常に葉の苦みが強かった。
今回のは、ある意味昔の新茶的な仕上げなのかもしれない。
無農薬のお茶をこの値段で購入できるのは大変素晴らしいことだが、今年の振れ幅は特に大きい。何かが変わったのだろうか。
今年の生活クラブのものも、最初のロットは普通だったが、二回目のロットはやたらに火入れが強かった。
この数年飲んできたが、同じ銘柄でも葉の選別や火入れの仕方など、すごく振れ幅が大きいというのが結論である。
その振れ方がうまく作用したときには非常に美味しいものができるので購入を続けてきたが、今年はまだ出会わない。
今年の「初摘み新茶」は非常に葉の苦みが強かった。
今回のは、ある意味昔の新茶的な仕上げなのかもしれない。
無農薬のお茶をこの値段で購入できるのは大変素晴らしいことだが、今年の振れ幅は特に大きい。何かが変わったのだろうか。
2017年8月4日金曜日
今年も素晴らしい香り - 南園 初摘み新茶(月牙泉)
昨年あまりの素晴らしさに驚きと感動を与えてくれた南園さんの「初摘み新茶(月牙泉)」。
今年はどうかというと、店主さんによるとやはり収穫期に冷え込んだ影響で品質の維持に非常に苦労された様子。
茶葉を見ると、確かに外観は昨年のものに一段か二段及ばず、黒く細く撚られた茶葉だけではなく、薄めの撚りが足りない茶葉も散見される。
ただ、味は、少し葉の硬さ由来の強さ=渋味を感じた昨年のものに比べて、円やかなのが良い。
細かな茶葉がもう少し少なかったらもっと柔らかな味になっただろう(※追記 新年のロットには細かな茶葉が少なくなったものもあった)。
そして昨年と同じくミネラル的(?)な味と、爽やかな香気は健在で、川根茶の素晴らしさが全開である。
青臭くはないが火香は全く気にならない(※追記 秋~冬の時期は火入れがやや強い時もあるので注意)。
濃厚な旨みのある宇治茶とは違うが、これはこれで一つの高峰といえる。
旨みは多いが爽やかさがあるのは、肥料過多というまでにはなっていない良さを感じさせる。
祖師ヶ谷大蔵にはあと3軒くらいのお茶屋さんが近くにあり、南園さんは一番地味な店構えかもしれないが、この川根茶の上品さは他のお店では味わえないように思われる。
以前書いたように、ご兄弟やその息子さんが川根茶の生産家さんであるという点が決定的に大きい。
味の方向性にも納得が行き、感動を与えていただいた。
東京で2000円/100gくらいの良い静岡茶を飲んでみたいという方にぜひお勧めしたい。
今年はどうかというと、店主さんによるとやはり収穫期に冷え込んだ影響で品質の維持に非常に苦労された様子。
茶葉を見ると、確かに外観は昨年のものに一段か二段及ばず、黒く細く撚られた茶葉だけではなく、薄めの撚りが足りない茶葉も散見される。
ただ、味は、少し葉の硬さ由来の強さ=渋味を感じた昨年のものに比べて、円やかなのが良い。
細かな茶葉がもう少し少なかったらもっと柔らかな味になっただろう(※追記 新年のロットには細かな茶葉が少なくなったものもあった)。
そして昨年と同じくミネラル的(?)な味と、爽やかな香気は健在で、川根茶の素晴らしさが全開である。
青臭くはないが火香は全く気にならない(※追記 秋~冬の時期は火入れがやや強い時もあるので注意)。
濃厚な旨みのある宇治茶とは違うが、これはこれで一つの高峰といえる。
旨みは多いが爽やかさがあるのは、肥料過多というまでにはなっていない良さを感じさせる。
祖師ヶ谷大蔵にはあと3軒くらいのお茶屋さんが近くにあり、南園さんは一番地味な店構えかもしれないが、この川根茶の上品さは他のお店では味わえないように思われる。
以前書いたように、ご兄弟やその息子さんが川根茶の生産家さんであるという点が決定的に大きい。
味の方向性にも納得が行き、感動を与えていただいた。
東京で2000円/100gくらいの良い静岡茶を飲んでみたいという方にぜひお勧めしたい。
2017年7月18日火曜日
うわべでなく中身が伴った萎凋--河村商店「萎凋 狭山かおり」
萎凋は在来種とともに日本茶の未来であるかのように語られることがあり、この7,8年だろうか流行の気配を見せたが、うわべだけで台湾茶の出来損ないのようなものがやたらに高い値段で売っていたりと、肝心の味が伴っていないものが非常に多いという印象がある。
そして、能書きに感化された人々が激賞しているだけ、というのが偽らざる感想だ。
特に、萎凋+在来種に力を入れていることで有名な某茶園のものは、数種類飲んだが、いずれも「これなら素直に台湾茶を飲んだほうがよほど良い」という出来だった。
その点、河村商店さんの「萎凋香 狭山かおり」は、狭山かおりの特性をきちんと見極めた上で萎凋を用いていて、値段も100g1000円程度、何より萎凋の良さと日本茶の良さがきちんと味わえるところが素晴らしい。
この地区で知らぬ人のいない生産さんとのことで、早くから萎凋に取り組んできた方でもあり、萎凋が減点対象となる全国茶品評会でも長らく好成績を収めてこられている方であるから、理念だけで萎凋を用いている人とは天と地の差がある。
渋味や火入れはかなりあるので、このお茶は、濃く少量の飲み方ではなく、気取らず大きめの器で飲むのが合うように思う。
そして、能書きに感化された人々が激賞しているだけ、というのが偽らざる感想だ。
特に、萎凋+在来種に力を入れていることで有名な某茶園のものは、数種類飲んだが、いずれも「これなら素直に台湾茶を飲んだほうがよほど良い」という出来だった。
その点、河村商店さんの「萎凋香 狭山かおり」は、狭山かおりの特性をきちんと見極めた上で萎凋を用いていて、値段も100g1000円程度、何より萎凋の良さと日本茶の良さがきちんと味わえるところが素晴らしい。
この地区で知らぬ人のいない生産さんとのことで、早くから萎凋に取り組んできた方でもあり、萎凋が減点対象となる全国茶品評会でも長らく好成績を収めてこられている方であるから、理念だけで萎凋を用いている人とは天と地の差がある。
渋味や火入れはかなりあるので、このお茶は、濃く少量の飲み方ではなく、気取らず大きめの器で飲むのが合うように思う。
2017年5月9日火曜日
ここ数年で最高の出来--生仕上げ ゆたかみどり(思月園)
毎年楽しみにしている思月園さんの名作。
今年は、今まで飲んできた「生仕上げ」の中でも1,2位を争うくらいの出来だと思う。
2011年に次ぐか、比肩するくらいの素晴らしさかと。
若干旨みが多いかもしれないが、香りも濃厚で、瑞々しい。
お湯の温度を下げてじっくり淹れ過ぎると芋のような(?)香りがしたので、ある程度熱いお湯で淹れたほうが美味しいように感じた。
今年は3、4月に冷えたため新茶の出来るのがが数十年に一度といわれるほどに遅れているらしく、相場も上がってしまい小売店は大変なことと思うが、素晴らしい新茶に会えたことに感謝したい。
製造は鹿児島県枕崎市松崎康夫さんです
4月18日に作っています
毎年のことですが
いかにも新茶という香りを求めて探し回っています
思月園でこのお茶を取り扱い始めてもう20年くらいになると思います
昔(今から40年くらい前)の新茶はこんな風に、味は少し薄いけど若葉の香りがあるのが一般的でした
ただこうするには水分量を多めにしておく必要があり変質しやすいという欠点があります
それでお茶屋が気を効かせて仕上げ乾燥をするようになって鮮度香が薄くなりました
それを復活させたのが、この生仕上げ新茶です
(思月園サイトより)
今年は、今まで飲んできた「生仕上げ」の中でも1,2位を争うくらいの出来だと思う。
2011年に次ぐか、比肩するくらいの素晴らしさかと。
若干旨みが多いかもしれないが、香りも濃厚で、瑞々しい。
お湯の温度を下げてじっくり淹れ過ぎると芋のような(?)香りがしたので、ある程度熱いお湯で淹れたほうが美味しいように感じた。
今年は3、4月に冷えたため新茶の出来るのがが数十年に一度といわれるほどに遅れているらしく、相場も上がってしまい小売店は大変なことと思うが、素晴らしい新茶に会えたことに感謝したい。
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