2013年12月4日水曜日

某地方都市のお茶

某県を訪れた際に伺ったお茶屋さん。

一軒目は、その県ではなく静岡産の煎茶しか無いとのことだった。
もう一軒のお店は、ご当地の茶葉を使った煎茶も2種類売られていたので、そのうち一つを購入させていただいた。

が、淹れて飲んでみたところ、残念ながら、酸化してしまっていた。

一軒目のお店のように静岡産しか置かないお店もある中、こちらのお店のように、せっかく地の煎茶も取り扱っていて素晴らしいのに、このような状態だったのは残念だった。
しかも袋も二重だったのに。
お店に伝えるべきか迷うところだ。

なお、茶葉は100g約800円で、茶葉の内容は値段なり。
もし老ねてなかったとしたら、もっとこの茶葉の持ち味を味わうことができたのではないか。
葉は肉厚でやや大振り、火入れは少ないと思われ、茎もそこそこ入っていた。
老ねたせいだと思うが香りは乏しく、旨みは普通からやや少なめか。

2013年11月12日火曜日

特別提供品 八十八夜摘み普通煎茶 品種おくみどり


特別提供品 八十八夜摘み普通煎茶 品種おくみどり
100g入り  945円
鹿児島県産
思月園

新鮮な香りは多くはないが、おくみどりらしい黒ずんだ緑葉の上品な味は出ていて、十分に価値を感じる。
毛茸の浮きもそこそこある。
ただ、火香は多少あると思う。
「おくみどり」ではそれが続いているので、産地の影響なのかもしれないが、もしかしたら火入れに敏感な品種なのだろうか。
これで火香がほとんど無いものだったどんな味になるかと思いを馳せる。

2013年10月27日日曜日

関西品評会出品 普通蒸煎茶  品種 みえうえじま 三重県大台町  木下静子さん製造  100g入り  1260円

「品種みえうえじまは三重県大台町の在来種から選抜した品種で、上嶋親さんによって2003年に登録された純粋な民間品種」とのこと(思月園サイトより)。

この品種で栽培され、品評会に出品され、落札されて小売まで到達するところが素晴らしいと思う。

細くしっかり揉まれた茶葉も多く、浸水も普通からやや遅め、産毛もよく浮く。
作りの丁寧さだけでも1,260円以上の価値はあるように思う。
蒸しや火入れは控えめ。

このお茶の作り手「木下静子さん」が、みえうえじまという品種に敬意をもって、まだ定まっていないであろうこの品種の評価を貶めないように気を使って丁寧に仕上げたのかもしれない。
仕上げで余計な方向に味を持ってゆかず、プレーンかつ上質に仕上げている。

においについては例の癖を持っているが、「みえうえじま」特有ではなく他のお茶でもしばしば見られるので、これを以ってこの品種の特徴と言うことはできない。
苦味はけっこうあり、むしろこの苦味の質にこの品種の特徴があるのかもしれない。
ともあれ、「やぶきた」が作り方次第で全く味が異なるのを考えると、一種類飲んだだけでは何とも言えない。

苦味だけではなく、肥料の与え方や仕上げ方ゆえと思われるが、「旨味」もかなり感じる。

2013年10月15日火曜日

関西品評会出品 普通蒸煎茶 品種 やぶきた 三重県いなべ市 伊藤慶春さん製造  100g入り  1575円

昨年は品評会入賞茶をずらりと揃え、ファンを驚愕させてくれた「思月園」さんだが、本年は四国を中心に各地の番茶を揃え、講習会の内容も「お茶の淹れ方」に留まらず「火入れ体験」だったりして、留まることを知らない。
番茶も火入れも、フォローすらできずにいる我が身が無念だが、日本茶の華と言える品評会のお茶を少々購入させていただいた。


関西品評会出品 普通蒸煎茶    品種 やぶきた
三重県いなべ市 伊藤慶春さん製造  100g入り  1575円

やや黒みがかった緑の茶葉をお湯に浸すと直ぐに浸水し、茶葉の色はあっという間に淡い緑へと変化した。
普通蒸しながら、水色は、黄色というよりは黄緑。
味は、渋みが少なく、甘み旨味(肥料的?)は非常に強い。
もう少し葉を揉んだほうが立体感が出ただろうか?

ちょうど同じ値段の、伝統的な宇治のお茶そのものである「勢龍」(蓬莱堂茶舗)に比べると、甘み旨味が突出し、渋みが少なく、揉みも控えめ。

二淹目も甘みが奇麗に残るのが印象的。

2013年10月3日木曜日

蓬莱堂茶舗「都の緑」

蓬莱堂茶舗「都の緑」1,260円/100g

1,575円/100gの「勢龍」とは茶葉の外観にも大きな差があり、格段に細かな葉が多く混ざり、味も「芽」の風味より「葉」の風味の割合が増える。
飲み方によってはこの「都の緑」のほうが面白いかもしれない。
ただ、濃く少量でオーセンティックな淹れ方をするなら、やはり「勢龍」に軍配か。

「勢龍」に比べると黒ずんだ芽特有の高級な風味は少なくなるが、肉厚ではない葉の甘みが伝わってくる。
この「都の緑」は茶葉の個性がよく出ていると思う。

2013年9月30日月曜日

蓬莱堂茶舗「勢龍」

京都には頻繁には行く機会がないが、機会ある限り蓬莱堂茶舗さんでお茶を購入したいと思っている。
こちらのお店は宇治茶に誇りを持っておられ、その一本筋の通った姿勢が好きだからである。
試飲させてくださるお茶も、煎茶道で出てきそうな、濃くて少量のエキスのようなお茶を飲むそれ。

1,230円のものと1,575円のものにはかなり差があったが、1,575円/100gの「勢龍」は、品評会入賞のお茶に近く、細く揉まれ、茶葉の色は黒味がかり、黒ずんだ高級茶葉独特の繊細な香りが豊か。
旨味だけではなく土っぽい味もある点が良い。
水色はもちろん黄色。
夏を越えたことによるのか、新鮮な香りはそんなに無かった。

あまりお茶に親しみの無い人が淹れるなら1,230円以下のもののほうが楽かもしれないが、鼻から抜ける繊細な香りは明らかにこの「勢龍」が上回っている。
この品質で1,575円、しかも高くなりがちな宇治茶ときたら、値段の割にとてもお買い得であると思う。
とにかくバランスの取れたお茶だと思う。

多めのお湯で飲む場合は、最初に少量のお湯で蒸らすようにしてからお湯を足すような淹れ方にすると、甘みが存分に出て美味しかった。
大きい急須に最初から目いっぱいお湯を入れるような淹れ方だと、真価は全く引き出せない。

2013年9月6日金曜日

目白 おおいし園

目白駅から徒歩約10分、下落合にある「おおいし園」さんは、こちらにお店を構えて約50年ほどになるそうだ。
量り売りの中では一番高価な1050円/100gのお茶を購入した。
缶に詰められたものだと2000円台のものも。これは新茶を缶詰めにしたものだそうだ。

お茶は全て静岡産だそうで、蒸しはそんなに深くないとのことだが、普通蒸しというより中深蒸しか。
しかし火香はあまり強くないのが良い。昔より火入れ弱くしているとのこと。

面白いのは、夏を越え、若々しい香りが減り熟成させたような丸みある味が出てきたこと。
夏を越える前はかなり違った味わいだったのではないか。
もちろん老ねた酸味が出てしまっているのとは違う。

氷点下の冷凍庫ではなく、山にある天然の蔵で熟成させたお茶を飲ませていただいたときの味を思い出した。

芽の風味は値段なりか、やや多めか。
静岡産にしては葉の硬さを感じない味。

昔ながらの店構えも素敵だし、味の作り方に奥の深さを感じた。
またお邪魔したいと思う。

2013年8月18日日曜日

くき茶 甲子園茶舗 その2

くき茶(2013年7月半ば入荷)

甲子園茶舗

前回のくき茶は売り切れになり、値段は同一で、同じく静岡県掛川産だそうだが、掛川の中でも森町寄りと仰っていただろうか(うろ覚え)、場所や作り手が違うようである。

入荷時期も違うのもあるのか、前回よりも今回のものは明確に葉の味が強く、標高の高いところで採れる高級茶のような繊細な香りは少ない。
そして特に目立つのは火香がかなりあることである。

やはり前回の高級な香りは特別だったのだ。

同じような銘柄でも、全く異なる味であることに注意したい。

2013年7月1日月曜日

くき茶 甲子園茶舗

板橋区小茂根にある甲子園茶舗にお邪魔した。
こちらのお店は時期によっては品評会のお茶もあったと思うが、この日は深蒸ししかなかった。
店主は静岡の深蒸しがお好きなようだ。

深蒸しを試飲させていただいたが、深蒸しかつ火香をかなり感じる。
普通蒸しが好きなら茎茶はどうかと勧められ、試飲させていただいたところ美味しかったので購入。

普通の煎茶だとかなりハイグレードなものにしかない繊細な香りが立ち感激。
よほど良いお茶の茎なのだろう。

渋みも少なく、また何杯も飲んでも美味しく飲めそうである。
白折はほかにもあったが、この680円/100gが、こちらのお店で最も高級なものであった。

白折という選択肢を用意して下さったことに感謝したい。

2013年5月23日木曜日

全国茶品評会三等入賞 普通蒸し煎茶 品種:やぶきた 生産者:岩見晴雄


昨年(2012)の品評会のお茶、新茶が出てきてもまだ買えるのはありがたい。
花のような香りは抜けているが老ね香はなく、さすがの保管。
茶葉はかなり黒く艶があり、高級茶を感じさせる。
手揉みのような細長過ぎる揉みではなく、淹れてみると産毛は思ったより全然浮かなかった。

「かぶせ茶 やぶきた 鹿児島県霧島市 福永忍 作 全国茶品評会三等入賞」は、アミノ酸の味ばかり感じて複雑な心境になったが、今回は、アミノ酸中心ではありながら、土っぽい葉の味も感じる。

以前100g 800円くらいの相良村のお茶を購入して、旨みが少なくて失敗したことがあるが、今回はとても良かった。

今の自分にはやや過分でありながら、気分を改めたいときにはぴったりのお茶である。

思月園にて購入 1,890円/100g

2013年5月11日土曜日

2013 生仕上げ新茶 ゆたかみどり 鹿児島県産 思月園


一年で最も心待ちにしているお茶といっても過言ではない。

「昔は新茶といえば青臭いくらい葉っぱの香りがした」と言われるが、今はお茶の仕上げ方が変わってしまい、中々その味を楽しむことができなくなっている。
それを、日持ちしないというリスクを冒しながらもあえて昔の作り方で再現した思月園さんの名作「生仕上げ新茶」である。

(『僕は日本茶のソムリエ』参照)


これを飲んだ後に他店の新茶を飲んだら、火香の強さにびっくりしてしまった。


今年の「生仕上げ新茶」は緑の葉っぱの味が濃厚かな?と思う。
陽を浴びずに緑が凝縮したような味ではないのだが、濃厚な葉っぱの味が生きていて美味しい。
日持ちしない作り方をしているので、基本的に5月中には売り切ってしまうようなので、何とか今月中にもう一度買いに行けたら良いなと思っている。

2013年5月2日木曜日

かぶせ茶 やぶきた 鹿児島県霧島市 福永忍 作 全国茶品評会三等入賞


全国茶品評会三等入賞
かぶせ茶
品種 やぶきた
生産者 鹿児島県霧島市 福永忍
2012年秋 思月園にて購入

the高級茶という感じで、お湯には産毛がびっしり浮き、水色は茶色がかったとさえいえる黄色、蒸しは浅め、茶殻は芽ばかりで柔らかい。

とても淹れるのが難しく、熱過ぎてももちろん駄目だが、ぬるすぎると臭みが出るので、意外と熱いくらいが合った。

味は以前中森製茶さんでいただいた手揉み茶に次ぐ、「アミノ酸」の強さ。
葉の雑味・風味は少ないが、龍井など中国茶に近い風味もあるのは、芽の部分が多いという共通点だろうか。

紅茶でシルバーチップスばかりのお茶を飲んだときにも、ヌルッとした味ばかりで、もっと葉の部位もあったほうがバランスとしては良いのかなと思ったが、少し同じような印象を持った。
ただ、この種のお茶の経験が少ないので、あくまで現時点での感想で、経験を重ねたらこの気持ちは変わるかもしれない。

秋に購入し、少しずつ勉強しながら飲んできたが、いつも飲んでいるお茶と違いすぎて、真価が分かったとは言い難い。2013-14シーズン以降の課題としたい。

2013年4月19日金曜日

鹿児島産新茶 西荻窪 清風園


20年ぐらい前だっただろうか?大走り新茶ブームがあったが、そういう風潮は落ち着いてきている。
が、早稲種が珍重されたり、品種開発されたり、お店がいち早く鹿児島茶を仕入れたりという傾向は今なお存在する。

まだ4月中旬だというのに、西荻窪・清風園さんにも既に鹿児島産新茶が2種類ほど入荷していた。
今年は全国的にお茶の出来が特に早いらしく、お関係の方々は喜んでいるに違いない。

(※その後冷え込みが訪れて、静岡などは大変な思いをしたようである)


一種類には「さえみどり」と書かれ、もう一つは深蒸し気味の無記名であったが「ゆたかみどり」あたりだろうか?
後者を購入。

青々した香りが爆発するほどではないが十分に新茶の香気がある。火香は結構ある。

今年も放射能汚染に加え九州をはじめ日本の土壌は中国の公害からの深刻なダメージを受けている。
そこから目を逸らすことはできないが、ひとまず新茶に出会えたことに感謝したい。



2013年4月中旬
1260円/100g

2013年4月5日金曜日

旨み中心を見直す

この半年ぐらいで、名うてのお茶大好き人間何人かとお話させていただき、ときにはお茶を飲ませていただいたところ、アミノ酸に特化したお茶よりも、葉の雑味がたくさん混ざったものが好きな方が何人かいらした。

日本酒で「(純米)大吟醸」より「純米酒」が好きというほうが通ということになっているのと似ている。

「茶舗あすか」さんの「特玉川在来」もまさにそんな感じで、「旨み」が分厚すぎない。
そして、ものすごく色々な味が入っている(ただ、火香はけっこう・・・)。

「旨み」の定義は人それぞれだが、しばしばその中心は「アミノ酸」であり、それは「肥料」によってもたらされる場合も多い。

酒で吟香ではなく米自体の旨みを味わう如く、茶でも「アミノ酸」だけではなく茶葉の味をしっかり味わうこと、このことを思い直す最近である。

2013年3月21日木曜日

清風園「静寂」


西荻窪清風園さんのハウスブレンドには大河内(2,100円/100g)、和敬(1,575円/同)、静寂(1,260円/同)があり、清風園さんの出自でもある静岡のお茶を使っているとのこと。

茶道の言葉「和敬静寂」から取った清風園さんの「和敬」と「静寂」であるが、渋みがかなり強い「和敬」よりも、円やかな「静寂」のほうが自分としては好みである。

「静寂」は味が円やかながら、肉厚な葉なのであろうと想像させる部分がある。
また、新鮮な香りが爆発というより穏やかな感じもあるのは、ブレンドものに見られる傾向かもしれない。
芽の味も感じる。
しもきた茶苑大山さんのブレンド茶である「沢の誉」に同様の傾向があるが、「静寂」のほうが肉厚な葉の味。

清風園さんのお茶は「おくみどり」「冬茶だより」などは火香が強いが、「静寂」はそれらよりずっと火香は少なく、蒸しも普通蒸しである。
1200円に見合った手堅いお茶であると思う。

温度には敏感で、ぬるすぎると臭みのようなものが出て煮え切らない味になり、ある程度熱めのお湯で淹れた方がバランスが良いと感じた。

同じ清風園さんの「おくみどり」は熱いお湯だと火香がきつすぎるのでかなり冷ましたほうが美味しく感じたが、対極的である。

2013年3月

2013年3月15日金曜日

新茶の出る前に買うお茶


この時期は次の新茶も待ち遠しいころで、どんなお茶を買うか迷うところだが、自分としては「少し高めの良いお茶を買う」のが望ましいと思っている。


管理の良いお茶を買う

新茶の時期はたいていのものは一定水準以上に美味しいが、夏を過ぎると、良いお店で良いお茶を買わないと、「秋上がり」どころか「劣化しただけ」のお茶になっている場合も多い。

同じお店でも、安い茶葉はあまり良くない場所に置かれたりと扱いが悪い場合もあり、また、お店に来る以前の流通過程でも同じような扱いを受けている確率が高い。
逆に、ある程度値段のするお茶のほうがしっかり管理されたものである可能性が高い。



作り手、売り手、お茶への敬意

この時期に良いお茶が売り切れにならずに多く残っているとしたら、そもそも社会的な「損失」である。
作り手が手塩にかけ、流通でも手を抜かず、このご時勢にお店がリスクを背負いながら扱ったお茶が残っているということ。それを皆が見過ごしてしまったら、誰もそのようなお茶を作り売ろうという気にならなくなってしまう。
結果としてお茶文化が損なわれることに繋がる。

もし、少し高級で良いお茶が年明けの時期までまだまだ残っていたら、多少なりとも購入することが、作り手、売り手、そしてお茶自体への何よりの敬意になるはずだ。

商売の世界では「(商品を)褒める客は買わない」というような言葉があるが、口だけで何かを語るよりも、購入するということが何よりのメッセージであると思う。

もちろん金をちらつかせて威張るようなことは論外であるが、口だけで褒めたり貶したりして実際に何もしないのは最悪である。

そのお店の姿勢やお茶の味に共感したのであれば、最終的には継続的に足を運び購入することに優る褒め言葉は無いのではないかと思う。

2013年2月8日金曜日

君野園「松寿」


君野園さんは上野アメ横本店のほか、駒込、鳩ケ谷、南千住に支店、静岡工場も持つそうである。

アメ横店は、外国人を含む観光客が多いという土地柄、緑茶ソフトクリームや和紙包みの茶缶などが多数用意されている。
何より、お茶屋さんにしてはスタッフの数が多くてびっくりする。

品評会入賞茶や釜炒り茶、玉露、やぶきた以外の品種、それに急須や抹茶碗など、ラインナップは広く、良い物には3000~4000円/100gの値段がつけられていて、アメ横のディスカウントのイメージとはまた違う。
特に玉露に関して、八女や宇治だけではなく静岡の玉露まで用意されているところは静岡工場を持つ強みか。
土地柄、トロトロになるまで細かくなった深蒸しが主力商品になっているようだ。

ひとまず宇治の「松寿」(1050円/100g)を購入してみた。

普通蒸しで茶葉は細く選られているのだが、実際に淹れてみると、旨み成分は強いものの、新鮮な香りや芽の風味は少ない。
乾燥した状態では濃いぐらいの色なのだが、淹れた後の茶殻はかなり薄い黄緑となり、ぬるい温度で淹れると例のやまかいで気になったような臭いの癖が出やすい。
そこで湯をあまり冷ましすぎないように淹れると、それがあまり出ずに旨みが中心となり、渋みも大したことは無く済んだ。

宇治の淹れ方としては例外的のように思うが、産地の個性よりも極深蒸しを推すお店の個性が強く出ているのかもしれない。
この寒い時期のお茶としては、高級茶葉をぬるいお湯で淹れるよりも、このほうが温かくて気持ち良いかもしれない。

2012年1月

2013年1月21日月曜日

清風園「冬茶だより」

「冬茶だより」という軟らかい名前が付けられているが、中身は「おくみどり」の深蒸しで、芽の高級な味が濃厚で鮮度維持も万全。お茶屋さんらしい紛れもなき本物である。

特に印象的なのは高級部位である芽の味がかなり濃厚なことで、これで1,200円は良心的であると感じる。
個人的には深蒸しでなかったらなお嬉しかったし、火香もかなりあるが、素材の良さが補って余りある。

熱めのお湯で淹れると火香が出すぎてしまうので、かなり冷まして飲むと良かった。

また、最近故あって老ね香のあるお茶ばかりずっと飲んでいたので、あらためてこちらのお店の品質管理に感嘆する思いである。

年明けのこの時期に芽の味が老ねずに味わえるのは、低温貯蔵、脱酸素剤、窒素充填、真空パックといった保存技術が向上した現代ならではであり、昔だったらあり得ない。

また技術だけではなく、各流通過程において誰も手を抜かず大切に扱われてきたからにほかならない。

老ね香は片道切符であり、流通のどこか一度でも手を抜いたら老ねて、元に戻ることは無い。
そうならずに消費者まで届くことこそが日本のプライドである。
関わった全ての方々に感謝したい。

2013年1月西荻窪「清風園」にて購入
100g 1,260円