2016年1月9日土曜日

昔、先入観にあった「有機」の風味 有機一番摘み 月ヶ瀬煎茶

気になっていた奈良県の有機栽培茶。
「農薬不使用の・・・」ではなく、ちゃんとJAS有機認証を受けている。

茶葉は大きく育った葉が茎までしばしば入っているので一針二葉の味とはほど遠い。

何より、とにかく乾燥させているので、酸っぱいといえるほど渋くなっている。

私が有機栽培のお茶をよく知る前に抱いていた先入観そのもののようなお茶。

有機栽培とこういう仕上げ方はセットになりがちであるという現実を見ると、多くの消費者が有機栽培のお茶というものに対して思い浮かべそうなものを忠実に体現しているといえる。

2015年12月12日土曜日

意外と「旨み」多し 百年乃茶

百年乃茶 かねき伊藤彦市商店

三重の百年以上経つ在来種の樹から摘んだお茶だそうである。

在来種を売りにしたお茶にありがちな、荒茶っぽい外観をしているのだが、飲んでみると意外とアミノ酸の旨みが多い。

もしかしたら、「在来種」「百年以上」を前面に押し出しているものの、作り方としては実はたっぷり肥料を与えられているのではないか?という印象を抱いた。
もちろんそのことは書いていない。

ただ、これが無かったらよくある有機栽培のようなパサパサな味になりかねないので、この場合はありだと思う。

2015年12月9日水曜日

ついに昨年に劣らぬ茶に出会う 中嶋農法のお茶 平成27年産

鹿児島県知覧市 古屋五男さん製造


昨年とても印象が良かったが、本年度産もとても良かった。
もしかすると昨年以上かもしれない。

普通蒸しと深蒸しの中間くらい。

瑞々しく、ミル芽香でも覆い香でもない、青々とした葉の香りが口の中いっぱいになる。

火香やアミノ酸的旨みはやや目立つが、青々とした香りの良さが上回る。

知覧町のお茶らしく、葉の渋みは少なくまろやか。

今年飲んだ中で、同銘柄で昨年より不味くなっていないお茶についに出会った。


お茶に有効な「中嶋農法」


中嶋農法は、中嶋常充氏が提唱する作物の栽培方法で、土壌診断により土に足りないもの(肥料)を施し、過剰なもの(肥料)減らし、植物本来の強さを引き出そうとするものだそうだ。

今までの農業は「窒素」「リン酸」「仮」の三大要素ばかりが重視され、ミネラル不足になっていたという。
逆にこの三大要素が過剰摂取されたわけだが、特に「硝酸態窒素」は農薬よりも危険とも言われており、
三重県農業研究所によると、
http://www.mate.pref.mie.lg.jp/marc/tanpo/50/5015.PDF
「茶の窒素施肥量は農作物の中で最も多く、茶園地帯では地下水の硝酸汚染が懸念されています。」
とのこと。

つまり、硝酸が過剰になりやすいお茶の世界で、中嶋農法は特に威力を発揮すると見ることもできるわけである。

2015年11月10日火曜日

2015年10月11日日曜日

ミル芽香と渋みが一体になった分かりやすさ――相藤農園「一番摘み」

沢山の品評会受賞歴を誇る相藤農園の川根茶。
その「一番摘み」である。

「一番摘み」とあるが、こちらは「5月上旬に収穫されたお茶」(1080円/100g)だそうで、

実際は更に
  • 「初摘み」:4月末から5月初旬に特に良い茶園の最初に収穫された最もみる芽(若い芽)のお茶(2000円/100g)
  • 「大はしり」:5月初旬に良い茶園で収穫されたお茶(1500円/100g)
  • 「八十八夜摘み」:5月初旬の八十八夜の頃に収穫されたお茶(1200円/100g)
が上の価格帯=早い茶摘み時期に鎮座する。

「一番摘み」と「初摘み」の違いが紛らわしい!
「『初』という意味ではなくて、『一番王道の時期』ということで・・・」ということであろうが、気になる表現である。

それでも、この「一番摘み」も封を開けた瞬間に、ミル芽の香りが溢れてくるのは見事としか言いようが無い。
近年、100g1000円のお茶で、この香りにはなかなかありつけない。
というか、新茶の時期に新茶を買ってもこの香りを持ったものが少ない。
その点こちら相藤農園さんのお茶は、素晴らしい鮮度保持ができているということである。

ただ、葉の渋みというか苦味も同時にかなり感じるお茶で、よくイメージされる静岡らしいお茶といったところであろうか。
ミル芽の香りと苦味渋みが渾然一体となって押し寄せてくる、分かりやすさ持ったお茶と言えるだろう。

乾燥もしっかりさせていると思うが、やりすぎの手前できちんと止めているように思う。

2015年10月4日日曜日

「萬古不易」――茶舗あすか萬古焼コレクション

日本茶の急須を売るお店として、東京の二大巨頭といえば西荻窪の「茶舗あすか」さんと神田の「丸善銘茶」さんになるかと思うが、茶舗あすかさんがついに万古焼の展示をされることになった。

その展示の中心を成すのは山本広巳さん。
美意識の点で個人的な好みからは外れるが、使いやすさや急須を探求したという点で、空前絶後の製作家といっても過言ではないだろう。
お姉さんが作っていたと言われる茶漉しは、どんな深蒸しでも涼しい顔で淹れてくれそうだ。

急須というと、古いお茶屋さんに残るものを見るばかり。
しかし茶葉と同じように、産地にでかけたり、競りで落としたりして、コツコツと良いものを集めているお店も存在するのだ。
そしてそれを知っている急須好きのお客さんが喜んで買ってゆく。
広告があるわけではないから、マスコミで急須ブームを仕立てるようなことはないかもしれないけれども、水面下でそういう愛好家たちがいるのだ。

色々なお茶を買い歩くようになったら、きっと急須にも興味を持つ。
もしそんな段階に来た人がいたら、ぜひ足を運んでみるべきだ。

お茶より珍しい急須の祭典。きっとすごいものになるだろう。


神楽茶樓
東京都杉並区西荻北3-16-3 西荻神楽ビル 1F
03-6913-9370

展示期間10月1~7日

2015年9月29日火曜日

不特定多数に飲まれることをよく考えている 一保堂 玉露 萬徳(まんとく)

頂き物。
玉露にしては渋みがあり、細かい茶葉も多い。

サイトによると
玉露独特のうまみをさっぱりと味わえ、さらにお茶らしいすっきりさも楽しめるのが「萬徳」。ほんのり感じる渋みがあるので、玉露の濃厚さがちょっと苦手…という方にもおすすめです。
とのことで、脳内の「一般人」向けに作った日和見主義的なお茶なのかな?と不安がよぎる。

しかし、しばらく飲んでみると、少しだけ茶葉を多くして並煎茶のようにがぶがぶ飲むような方法で美味しい、実に便利なお茶。
そういう意味では玉露というよりかぶせ茶的なポジションなのかもしれないが、「賓水園製茶 特上玉露」あたりに比べると、かぶせ香が突出することなく、渋みや葉の味が重層的。

100gで1,800円もするほどの茶葉ではないとは思うものの、味や香りの一部分だけが突出するのではなく、バランスが良いのは、さすが多くのユーザーに揉まれた店の味なのかなと思う。

また、最初は充分以上と思われるほど乾燥していると感じたが、今夏の猛暑で痛んでゆく我が家の他のお茶をよそに、こちらのお茶は味の変化がそれほどでもなかった。

やはり全国のデパート支店や贈答品などでコントロール不能な環境におかれることを想定したらこのような乾燥になるだろうし、また、猛暑の中でそれが実際に役立つのを目の当たりにすると、お見それしましたと言わざるを得ない。
自分の気付かないところでも、更にいろいろな工夫がなされていることだろう。

同じ値段を出せば、きちんとした管理できちんとした淹れ方をすれば、もっと美味しいお茶はあるし、もし「これこそ玉露の味だ」と思う人がいたらもう少しいろいろ飲んでみることを勧めたくはなるが、横着者にとってはこんなにありがたいお茶もなかなかないだろう。

飲み終わるころには「もう一缶買おうかな?」と思ってしまうようなお茶だった。

中缶箱(155g)3,240円(税込)
100g袋 1,836円(税込)