2013年3月21日木曜日

清風園「静寂」


西荻窪清風園さんのハウスブレンドには大河内(2,100円/100g)、和敬(1,575円/同)、静寂(1,260円/同)があり、清風園さんの出自でもある静岡のお茶を使っているとのこと。

茶道の言葉「和敬静寂」から取った清風園さんの「和敬」と「静寂」であるが、渋みがかなり強い「和敬」よりも、円やかな「静寂」のほうが自分としては好みである。

「静寂」は味が円やかながら、肉厚な葉なのであろうと想像させる部分がある。
また、新鮮な香りが爆発というより穏やかな感じもあるのは、ブレンドものに見られる傾向かもしれない。
芽の味も感じる。
しもきた茶苑大山さんのブレンド茶である「沢の誉」に同様の傾向があるが、「静寂」のほうが肉厚な葉の味。

清風園さんのお茶は「おくみどり」「冬茶だより」などは火香が強いが、「静寂」はそれらよりずっと火香は少なく、蒸しも普通蒸しである。
1200円に見合った手堅いお茶であると思う。

温度には敏感で、ぬるすぎると臭みのようなものが出て煮え切らない味になり、ある程度熱めのお湯で淹れた方がバランスが良いと感じた。

同じ清風園さんの「おくみどり」は熱いお湯だと火香がきつすぎるのでかなり冷ましたほうが美味しく感じたが、対極的である。

2013年3月

2013年3月15日金曜日

新茶の出る前に買うお茶


この時期は次の新茶も待ち遠しいころで、どんなお茶を買うか迷うところだが、自分としては「少し高めの良いお茶を買う」のが望ましいと思っている。


管理の良いお茶を買う

新茶の時期はたいていのものは一定水準以上に美味しいが、夏を過ぎると、良いお店で良いお茶を買わないと、「秋上がり」どころか「劣化しただけ」のお茶になっている場合も多い。

同じお店でも、安い茶葉はあまり良くない場所に置かれたりと扱いが悪い場合もあり、また、お店に来る以前の流通過程でも同じような扱いを受けている確率が高い。
逆に、ある程度値段のするお茶のほうがしっかり管理されたものである可能性が高い。



作り手、売り手、お茶への敬意

この時期に良いお茶が売り切れにならずに多く残っているとしたら、そもそも社会的な「損失」である。
作り手が手塩にかけ、流通でも手を抜かず、このご時勢にお店がリスクを背負いながら扱ったお茶が残っているということ。それを皆が見過ごしてしまったら、誰もそのようなお茶を作り売ろうという気にならなくなってしまう。
結果としてお茶文化が損なわれることに繋がる。

もし、少し高級で良いお茶が年明けの時期までまだまだ残っていたら、多少なりとも購入することが、作り手、売り手、そしてお茶自体への何よりの敬意になるはずだ。

商売の世界では「(商品を)褒める客は買わない」というような言葉があるが、口だけで何かを語るよりも、購入するということが何よりのメッセージであると思う。

もちろん金をちらつかせて威張るようなことは論外であるが、口だけで褒めたり貶したりして実際に何もしないのは最悪である。

そのお店の姿勢やお茶の味に共感したのであれば、最終的には継続的に足を運び購入することに優る褒め言葉は無いのではないかと思う。

2013年2月8日金曜日

君野園「松寿」


君野園さんは上野アメ横本店のほか、駒込、鳩ケ谷、南千住に支店、静岡工場も持つそうである。

アメ横店は、外国人を含む観光客が多いという土地柄、緑茶ソフトクリームや和紙包みの茶缶などが多数用意されている。
何より、お茶屋さんにしてはスタッフの数が多くてびっくりする。

品評会入賞茶や釜炒り茶、玉露、やぶきた以外の品種、それに急須や抹茶碗など、ラインナップは広く、良い物には3000~4000円/100gの値段がつけられていて、アメ横のディスカウントのイメージとはまた違う。
特に玉露に関して、八女や宇治だけではなく静岡の玉露まで用意されているところは静岡工場を持つ強みか。
土地柄、トロトロになるまで細かくなった深蒸しが主力商品になっているようだ。

ひとまず宇治の「松寿」(1050円/100g)を購入してみた。

普通蒸しで茶葉は細く選られているのだが、実際に淹れてみると、旨み成分は強いものの、新鮮な香りや芽の風味は少ない。
乾燥した状態では濃いぐらいの色なのだが、淹れた後の茶殻はかなり薄い黄緑となり、ぬるい温度で淹れると例のやまかいで気になったような臭いの癖が出やすい。
そこで湯をあまり冷ましすぎないように淹れると、それがあまり出ずに旨みが中心となり、渋みも大したことは無く済んだ。

宇治の淹れ方としては例外的のように思うが、産地の個性よりも極深蒸しを推すお店の個性が強く出ているのかもしれない。
この寒い時期のお茶としては、高級茶葉をぬるいお湯で淹れるよりも、このほうが温かくて気持ち良いかもしれない。

2012年1月

2013年1月21日月曜日

清風園「冬茶だより」

「冬茶だより」という軟らかい名前が付けられているが、中身は「おくみどり」の深蒸しで、芽の高級な味が濃厚で鮮度維持も万全。お茶屋さんらしい紛れもなき本物である。

特に印象的なのは高級部位である芽の味がかなり濃厚なことで、これで1,200円は良心的であると感じる。
個人的には深蒸しでなかったらなお嬉しかったし、火香もかなりあるが、素材の良さが補って余りある。

熱めのお湯で淹れると火香が出すぎてしまうので、かなり冷まして飲むと良かった。

また、最近故あって老ね香のあるお茶ばかりずっと飲んでいたので、あらためてこちらのお店の品質管理に感嘆する思いである。

年明けのこの時期に芽の味が老ねずに味わえるのは、低温貯蔵、脱酸素剤、窒素充填、真空パックといった保存技術が向上した現代ならではであり、昔だったらあり得ない。

また技術だけではなく、各流通過程において誰も手を抜かず大切に扱われてきたからにほかならない。

老ね香は片道切符であり、流通のどこか一度でも手を抜いたら老ねて、元に戻ることは無い。
そうならずに消費者まで届くことこそが日本のプライドである。
関わった全ての方々に感謝したい。

2013年1月西荻窪「清風園」にて購入
100g 1,260円

2012年10月22日月曜日

茶舗あすか 特玉川在来


西荻窪の「茶舗あすか」さんは、在来種が並ぶお店だ。


「玉川」というのは静岡の地名で、今日では中河内川流域になるようだ。
中河内川は、茶でも有名な安倍川に合流している。

(ちなみに「両河内」というのは東にある興津川流域の一部であり、異なる地域。)

その玉川の在来種を使ったレアなお茶。

葉は大きめで、茎もそこそこ散見され、芽は入っているが少なめ。
いかにも在来種とセットになりそうな仕上げ。

鄙びた味がするが、不思議と渋みは鋭くない。
旨みも思ったよりもあり、茶葉の旨みと茎の旨みが溶けあう。
蒸しは普通(浅め)で、水色(すいしょく)はかなり黄味ががっている。
煎茶というより番茶に近い感覚。


品評会入賞茶がずらっと並ぶお店もあれば、こちらのように在来種が並ぶお店もある。
日本茶専門店といっても大きな違いがある。
しかし、どちらにしても生半可な店ではない。

こちら「茶舗あすか」さんは、お茶屋さんには珍しく、急須の品揃えも特筆すべき水準である。

2012年10月12日金曜日

全国茶品評会三等入賞 釜炒り茶 北野徳浩 思月園


全国茶品評会三等入賞 釜炒り茶
生産者:佐賀県嬉野市 北野徳浩
1,680円/100g
2012年10月思月園

三等(上位15%)でもこの価格で飲めるのは釜炒り茶ならでは。
茶葉は黒みがかり好きな香りがするが、新鮮な香りはそれほどでもない。
淹れてみると、思ったよりも、少し火入れがある普通の蒸し製煎茶に近い印象。
「釜香」を上品に抑えてあるのだろうか。
蒸し製の新鮮で繊細な香りは無くとも、緑葉の旨みが多く、臭みも無く飲みやすい。
湯の温度や量も柔軟に受け入れ、美味しく入る幅が広い。
秋冬に嬉しいお茶となりそうだ。
気づいたら同じく佐賀県の唐津焼と合わせて飲んでいた。

2012年10月2日火曜日

今秋、思月園さんの品揃えが凄い。


思月園さんのブログを見たら、各品評会のお茶が山のように入荷していて驚いた。
ここ数年で一番多いのではないだろうか?

世の中的には、放射能という、お茶に暗い陰を落とす問題は、まだまだ消えていない。
それどころか、放射能測定基準が変わったり(農水省の発表はこちら)、不穏な動きもある。
その基準で「規制値以下」とはいえど今年もセシウムが検出されている狭山茶などの生産農家は、本当に大変なことだと思う。
東京電力は自分達のボーナス復活よりも、お茶の生産農家への補償をきちんと行ってほしい。

そして、今年は店主の高宇さんも体調を崩されていた。

そんな暗い気持ちを吹き飛ばすかのような、本年の大量入荷には、熱い思いを感じずにいられない。

かぶせ茶、「やまとみどり」交配種、相良村のものが入ったり、
釜炒り茶は全国茶品評会「一等一席」(一位)を含む圧巻の品揃え

東京中見渡しても、これほどの品揃えをしているお店はあるだろうか?
東京都茶協同組合」加盟のお店を何軒か覗いてみても、品評会のお茶はあっても一種類というところもある中で、この品揃えは凄いとしか言いようがない。

上記のような色々な出来事があってみて、こうやってお茶をいただけるのは当たり前のことではなく、本当に恵まれていることだという思いを新たにする。
後から振り返って、「あの頃は色々なお茶が飲めたなあ」では遅いのだ。