2020年11月22日日曜日

繊細な山梨のお茶――思月園 全国茶品評会出品普通蒸し煎茶

山梨県のお茶だが、富士川上流で静岡に隣接した地域。

第74回全国茶品評会出品普通蒸し煎茶 100g 1620円(税込)

品種はやぶきた 山梨県南巨摩郡南部町、静岡県に隣接した地域です 富士川の上流部に当たる山間地に茶畑が広がります 一回ご紹介したいものだと思いながら、全品の入札会では地元のJAが私のつける価格の三倍以上の価格で落札し、いつも買えずに泣いていました 今回は参加していなかったみたいで、ダメもとで入れた札で落札できました 次回に買える可能性は低いのでこの機会をお見逃しなく! 
(思月園サイトより引用)


2000円でも違和感ない外観。
製茶の仕方もあってか青草のような繊細な味で、低温&お湯が多めだととにかく味が出ない。
茶葉を多めにするだけでなく、少し熱めの温度で淹れると非常に美味しく、本領が発揮される。
淹れ方を試されるお茶ともいえる。
3、4回目は熱湯に近い温度で淹れると、これまた美味しい。
旨味は多いが不自然なところが無い、非凡なお茶といえる。
静岡のお茶によく見られる硬さが少なく、高知や九州のお茶を思わせる。
これはリピートしたい。

100g 1000円の価格帯とは全く別の世界が500円の違いで見られるのだから、こちらを選ぶべきだと感じた。

2020年9月5日土曜日

賭けに勝ったか?――「新生わたらい茶 有機一番茶上煎茶」

生活クラブ路面店で80g 800円(本体)ほど。

昨年度産の「上煎茶」は、同「特選」に比べてずいぶん落ちるように感じた。
今年度産の「特選」はいきなり酸味がした。

では今年度産「上煎茶」は?――というと大当たりだった。

まず、生活クラブにしては老ねた酸味が全然無い。
そして、緑の香り溢れ、ぼけた感じが少ない実に良いお茶。

「新生わたらい茶」さんのお茶を買うのはいつもギャンブル過ぎるが、今回は当たったようだ。
毎回このレベルの品質管理を祈りたい・・・が、2週間後くらいにリピートで同じものを購入したら、袋を開けた瞬間の新鮮な香りが前回のものより少なかった。店舗で傷んだか。

それでもなんだかんだで買い続けるのは、土台に有機の安心感があること。

2020年7月11日土曜日

保管の難易度を低く見積もっている――宮崎もりもっ茶 生茶仕立て新茶

豊緑園「農薬と化学肥料不使用 芽吹き新茶 オーガニック農園 宮崎もりもっ茶」
生茶仕立て新茶 宮崎県産 ゆたかみどり 

趣味性の高いのスーパー「信濃屋」はプロパーとしては「つぼ市」「葉桐」を主力にしていて、緑茶はおざなりになっているが、このお茶は少々興味深かったので購入してみた。

「焙煎を控えめにし、生の茶葉の香りを残したフレッシュな美味しさです」とのこと。
思月園さんの「生仕上げ 煎茶」を彷彿とさせる。

60g 約600円で、農薬・化学肥料不使用でありながらこの価格だが、外観は荒茶に近い。
これが安さの秘訣といえるだろう。

ほぼ荒茶であることで、旨味成分が不自然に突出することがないという良さがある。
そしてジューシーな香気も感じられる。
ただ、やはり茎(柄)や粉の癖が気になった。


問題は鮮度を保つパッケージングの部分。

・5月下旬に酸味が見られた1袋目
5月下旬でもうっすら酸味が発生してしまっていた。
賞味期限は2021年4月末になっていたが、そのころまで美味しく飲めるとはとても考えられない。

・酸味が無かった2袋目
なぜか6月前半に購入した分は酸味は問題が無い程度だった。

・香りが無かった3袋目
6月半ばに購入した3度目のものは、酸味こそ発生していなかったものの、新茶のジューシーな香味が消え、粉の部分の味が目立ち、古い深蒸し茶のようになっていた。


思月園さんの「生仕上げ 煎茶」は「空気を抜く」という最強の方式で袋詰めしているにもかかわらず、5月前半には販売終了してしまう。
この仕上げは水分量が多く、それ以降は責任を持てないためである。
しかも基本的に自店販売のみ。

それに対して豊緑園さんのこちらのお茶は、流通先で何が起こるか分からないスーパー卸をしているにもかかわらず(しかも6月以降にも販売)、水分量の多い茶葉で脱酸素剤のみというのは、やはり不十分だというのが現実なのだろう。

もし1回しか買っていなかったら、もっと良くない印象を持っていたと思う。

2020年6月15日月曜日

飛ぶ香りと保管――生活クラブ わたらい新茶

生活クラブ わたらい新茶 わたらい一番茶

「わたらい新茶」

今年も開封してどんどん水っぽくなり香りが薄くなる不思議なお茶。
時節柄、ついにコロナに罹ったか?と心配してしまったほど。
その分茶葉をたくさん使えばたしかに美味しいのだが、消費が早くてしょうがない。
火入れは抑えられていて良かった。


「わたらい一番茶 特上」

新茶なのにすでに酸味を感じる残念な保管。
生活クラブは生鮮食品以外は味にこだわりが感じられないのが残念なところ。

2020年6月14日日曜日

旨味の量は多い――「生仕上げ」新茶

「生仕上げ」新茶 ゆたかみどり 普通蒸し 100g 1,512円

毎年楽しみにしているお茶。
昨年のものに感じた旨味の癖が、今年のものは素直になり、「より純粋なアミノ酸的旨味」という感じになったが、旨味自体はやはり過多であるように感じられた。
外観は昨年のものより爽やかで綺麗な緑。
全体的には昨年のものより良かったと思う。

2020年4月25日土曜日

自宅で古いお茶をブレンド

3~4月の日本茶は新茶を待つ時期で、例年は日本茶への感謝を込めて昨年産の高級茶を購入して飲むことが多かったが、今年は疫病の流行でお店に行くのもままならない・・・どころか、配送者さんとの接触や彼らの負担を減らすことすら必要になっている。

そこで、今年は今まで飲まずにいたお茶を自分でブレンド(合組)して飲んでみることにした。
残っているものには明快に理由があって、火香の強すぎるもの、ぱさぱさしたもの、肥料的旨味の多すぎるもの、といったものばかり。
購入して失敗したものや、いただいたけれど美味しくなくて飲み進まなかったもの。

面白いのは火香の強すぎるものは熟すとその熟れた匂いが火香に勝りあまり気にならなくなること。
これとぱさぱさしたもの、酢味を感じるようなものを混ぜると、なかなか良い具合だった。

「熟成」というと聞こえが良いが、同じような味になってしまうのもまた現実ではある。

出てきた情報によると、集団感染を避けるために今年の新茶は手摘みを取り止めたところもあるとのこと。
秋の品評会などは厳しいものになるのかもしれないが、新茶が出たら購入して少しでもお茶の世界に貢献したいと思う。

2020年3月19日木曜日

酸味かつ普通――生活クラブ路面店「新生わたらい茶 有機一番茶上煎茶」


前出の生活クラブ路面店「特選上煎茶」の1クラス下のもので、80g700円くらい。

新生わたらい茶さんのお茶は、1クラス違っても味はかなり似ていることがあるが、これは「特選――」に比べると100円程度の差であるが味は大きく違う。
香気の部分が大きく後退し、摘採時期が遅くなったような味。

保管はどちらも悪いが、香気が少ない分なのかこちらのほうがより良さが分かりにくいお茶になっていた。
酸が立ってしまっていなければ、100g900円ぐらいのお茶として安全で良いお茶だったはずなのが残念。
せっかく有機で手をかけて作ったのだから、空気を抜くかたちでの保管をぜひお願いしたい。

2020年3月1日日曜日

保管に難ありだがお茶は良し――生活クラブ路面店の「新生わたらい茶 有機 特選上煎茶」

「生活クラブ」の日本茶の茶葉は基本的に「新生わたらい茶」さんが担っており、直営路面店「デポー」に幾つかの種類があったので一番高級な「有機 特選上煎茶」(80g 約800円)を購入してみた。

久々にこの味!やはり美味しい。その上安全。
しかし、保存は悪く少し酸味が出かかっていた。
八十八夜より前に収穫された「一番茶」を、空気を抜かず、酸化防止剤も入れず、常温で置き続けていることに起因するものではないかと思われる。
趣味の人が大勢買いに来るような回転の良い専門店ならまだしも、生活クラブの路面店でこのお茶をわざわざ選ぶ人はそんなに多くないのだろう。
であれば、もっと長い期間の保管に耐えるような包装をしないと茶葉がかわいそうだ。
このような置き方をする場合は袋の空気を抜く方式が一番良いと思う。
生活クラブ側の問題のような気もするから、空気を抜く機械代を出資してあげてほしいと思う。

そこは気になったが、お茶のポテンシャルは素晴らしいし火香も控え目で、良かった。
変わらず木の実のような不思議な味がするのも楽しい。
外観は普通蒸しと深蒸しの中間位で、淹れてみると芽の部位が多い。

新生わたらい茶さんのお茶はとにかく製茶技術が一定せずギャンブルの感があるが、これは保管状態を除けば素晴らしいお茶で、また購入したいと思う。

2020年2月29日土曜日

円やかで飲みやすい――清風園「和敬」

100g1500円+税でこちらのお店の通常ラインナップでは最高級品。
本山と森町あたりの茶葉を合組しているとのこと。
普通蒸しと深蒸しの間くらい。
嫌な渋みや酸味は一切なく、円やかな味。
以前のものに比べると、香気がおとなしいのか、少し水っぽいような感じがする。
茶葉もそこそこ細かいせいか、多めの湯量でラフに飲んで美味しいお茶と感じた。
好みとしてはもう少し深蒸しの茶葉比率が少ないほうが嬉しい。
また、少し肥料由来の旨味を感じてしまうこともあったが、そこまで嫌なほどではない。
飲みやすい良いお茶であると感じた。

2020年2月28日金曜日

お茶は良いのに袋の煙草臭で台無し――墨田区某店

墨田区錦糸町駅から歩いた某茶店。

卸が主業務ということで、小売は今時珍しく100g1000円+税のものが煎茶の最高級品という。
産地は掛川で、普通蒸しと深蒸しを混ぜているとのこと。
飲んでみると非常にバランスが良い。
不自然な旨味は少しあるが極端ではない。
山のお茶のようなつんとした香気ではないが、鮮度と香りがあり、高地でないお茶としてできることをきちんと押さえた達意のお茶。
火入れは、強いと感じないレベルで収まっている。
今回は大きな袋から封切りだったというのもあるかもしれないが、一保堂のようなぱさぱさした乾燥のさせ方とは真逆でしっとりしていて保存が良い。
100g1000円で気張らずに飲むお茶としてはパーフェクトに近い出来ではと思った。

ただし!
袋からぷんぷんタバコの臭いを感じた。
昭和の昔ならいざ知らず、令和の時代に日本茶の小売店で、お茶を入れる袋(お茶に直で触れる袋)にタバコの臭いが染みついているというのは、いただけない。
全ての良い評価を台無しにするほど残念なことだと思う。

2020年2月27日木曜日

幅広い――「茶の池田や」

新宿駅地下に構える「茶の池田や」さんは、日本茶、茶器、珈琲、海苔、中国茶、紅茶、昆布茶等が所狭しと並ぶ楽しい店だ。

日本の煎茶では、蒸しについて「特蒸し」「上蒸し」など意味不明・頓珍漢な表記が気になる。
「普通蒸し」と「若蒸し」とを区別して使っているのも、全国標準の用法とかけ離れていて、消費者を混乱させるだけだ。

お茶の品揃えは品種、産地、価格、仕上げどれを取っても幅広い。
買い方として偏ってしまうが、品評会出品茶ばかり二点ほど購入させていただいた。

岐阜県・白川産(2018年関西茶品評会入賞煎茶、100g2000円)は、被覆が無いお茶だそうで、外観はすごく高級な形状でありながら色は濃過ぎず、鄙びたお茶の味がして、面白いと感じた。
ただ、二淹目は酸味苦味が出やすく難しい。
もしかしたら2018年製というのも影響しているのかもしれない。

宮崎県産(2019年全国茶品評会入賞煎茶、80g2000円)のほうは、外観は良いがとにかく肥料的・不自然な旨味で、被覆し過ぎ、火入れもそこそこあり、高価ではあるがちゃらちゃらしたお茶だった。

「品評会入賞茶」だけでもこのように全く傾向が違う。
良くも悪くもお店としてこういう味というものが無いので、この振り幅の中で好みの味に出会うのはなかなか難しいかもしれない。