2016年9月26日月曜日

安定の一保堂 萬徳(まんとく)

昨年の猛暑で「良いお茶」たちが討ち死にする中、乾燥をしっかりさせた一保堂さんの萬徳は生き残った
本年のものも、同じく玉露にしてはかなり乾燥させているが、百貨店から方々へと贈答品として旅立つ一保堂さんのお茶としては不可欠かと。

そして、さつき濃さんの「中嶋農法のお茶」以上に、昨年のものとの区別が付かない、圧倒的な安定感。
しいて言うなら、昨年よりかぶせ香が増えたか。
玉露は独特のうまみといつまでも残るその余韻を楽しむお茶。
数滴で十分なほどに玉露のうまみは濃厚です。
玉露独特のうまみをさっぱりと味わえ、さらにお茶らしいすっきりさも楽しめるのが「萬徳」。ほんのり感じる渋みがあるので、玉露の濃厚さがちょっと苦手…という方にもおすすめです。しっかり湯冷ましをしてあげると、おだやかなうまみを引き出せます。
サイトにはこのようにあるが、玉露の飲み方を知らない人への配慮でもあるのだろう。
多少荒っぽい飲み方をしても(もったいないが)、飲めてしまうし、乾燥させた味ではあるが、伝統的な玉露の淹れ方をしても美味しくいただけるところが見事。

2016年9月25日日曜日

[番外編・台湾緑茶] 自然農法 金萱緑茶 天級

2015年4月4日~5日摘採。「清明節前」に摘んだとわざわざ記しているように、台湾でも早い摘採なのだろう。

あまり丸めすぎない茶葉。手摘。台北の東南に位置する新北市坪林区は、「包種茶」で名高いそうだ。

金萱ということで、ミルクのような濃厚な味がするかと思いきや、淡く、ハッカのような香り。
外観にシルバーチップスが見られるように、芽の味も。
ただし、芽の生臭い味は無く、ハッカのようにすーっと抜ける。

奇しくも中国本土の最高級紅茶で、このような味作りのものを最近飲んだ。
世のトレンドはこういう味作りなのだろうか。

2016年9月24日土曜日

「狭山火入れ」も裸足で逃げ出す 新川製茶「プレミアム有機煎茶」

新川(にいかわ)製茶「うきのはの山茶」プレミアム有機煎茶1200円+税/100g
  • 「朝つゆ」を主体に3種類の品種をブレンド
  • 深蒸し
  • 有機栽培 
  • 福岡県うきは市で有機栽培40年
とのことである。

そこまで深蒸しという感じでもなく、やや深蒸しという感。

何より驚いたのは、「狭山火入れ」もびっくりなほどの火入れの強さ。
記憶にある限りでは、今までに飲んだ福岡県のお茶の中で一番火香が強かった。
個人的な趣味とは違うが、火香を愛する人に良いのかもしれない。

サイトを見ると、福岡らしい「意識高い系」 の雰囲気が感じられたが、日本茶スノッブなら普通蒸しで火入れを弱めにしそうなところを、そうはならず、深蒸しと極強の火入れという点が興味深い。

2016年9月22日木曜日

熟成の深み 「都の緑」

蓬莱堂茶舗さんは、新茶が出て暫くは前年のお茶と適宜ブレンドしているらしい。
熟成した前年の茶葉はコクと旨みが豊かで、本年産の茶葉は色と香気が優れているとのことである。
それらを混ぜ合わせることで、味に深みが与えられている。

数年前の「都の緑」に比べて、茎などの混入比率がずいぶん下がり、外観は勢龍(1600円)に近づいたと思う。

アミノ酸的な旨み成分と華やかな香りは、「常盤木」や「勢龍」に比べるとややおとなしい。
その代わり、濃厚な緑の味を楽しめる。
ある意味、日本酒で「純米大吟醸」よりも「純米酒」のほうが米の良さを味わえると言われるのに似ていて、非常に美味しい。

ある程度柔軟な淹れ方にも対応してくれ、少なめでストイックに淹れても、やや多めのお湯で気楽に淹れても美味しい。

1200円~1300円ぐらいとしては、これまた最高のお茶の一つ。

2016年9月18日日曜日

薬と思えばよいのか 「朝宮の粋」

無農薬の草分けでもあるかたぎ古香園さんの「朝宮の粋」100g 1500円+税。

酸っぱいといえるほどに乾燥させた茶葉は、昔の無農薬茶のイメージそのもの。
外観は大降りだが茶葉は選別されている。
旨みはそこそこ、火香もなかなかある。
ここまで乾燥させていると自分には味がよく分からなかった。
もっと安いグレードのものを買って薬と思って飲むのが向いていると感じた。

袋を見ると、

表に「特別栽培農産物 農薬不使用栽培」
裏に「節減対象農薬:栽培期間中不使用
化学肥料(窒素成分):栽培期間中不使用」

とある。

栽培期間以外は使用しているということなのだろうか??

2016年9月16日金曜日

圧倒的な安定感 中嶋農法のお茶

知覧町の古屋五男さん生産、「さつき濃」さんのお茶。

昨年度は全国的に難しい年だったのか、一昨年度並のお茶にめぐり会えない中、この銘柄だけが前年に劣らぬ出来を見せてくれた。

今年度はどうか。

殆ど変わらぬ美味しさである。
青りんごのような圧倒的なフルーティーさが押し寄せてくる、楽しいお茶。

火香は例年通りややあるが、気にならない程度。
例年より深蒸し気味か。
そして、例年通りちょっと乾燥させすぎているように思うが、これでフルーティーさを出せるのだから凄い。

税込1200円以下で、ほとんど誰にでもお勧めできるお茶だ。

皮肉でも何でもなく、高級煎茶然としたしぼり出しを使ったような少量の淹れ方では、このお茶の本来の良さは分からない。
ある意味番茶のように大き目の急須と湯呑で気軽に淹れたときにこそこのお茶の良さが発揮されるように思う。
(最近、売り手側が想定しているお湯の量や淹れ方が何となく見えてくる気がする。)

水分をしっかり取りたいとき、何かをしながら飲むときなど、非常に良い。
この淹れ方、飲み方は、お茶にあまり詳しくない人の飲み方に近くもあるため、マニア以外への贈答品にも好適であると思う。

三年連続で味がここまで安定しているお茶は、自分の知る限り、ほかに無かった。
製茶した方々の仕事に拍手喝采を送りたい。