2019年5月9日木曜日

渋味極少ながら――生仕上げ新茶 ゆたかみどり

昔の新茶の味を再現するため、仕上げ乾燥をしない製法で作られたお茶。
もちろん普通蒸し。

毎年、ジューシーだが、むせ返るようなえぐみはなく、飲みなれていない人が飲んでも多くの人が美味しいと言う。

今年は例年より特に渋味雑味が少なく、より旨みに偏っているのではないか?
そのせいか香りや味は薄めで少し閉じたようなところがある。
茶葉を多くし、湯の温度を高めにして、ちょうどバランスが良くなるように感じた。

昨年に比べ複雑味がやや及ばぬものの、他の新茶よりも開封後もジューシーな香りが残る安定感はさすが。

今年もこのお茶を飲めたことに感謝。

2019年4月23日火曜日

高級茶向きの製茶――高畑園 八十八夜

100g1000円+税
「浅蒸し」を標榜するだけに、蓬莱堂さんの新茶とまではゆかないが新茶前の時期としては異例なほどえぐ味ともいえる渋味苦みのある面白いお茶。

品質管理は鮮度あり素晴らしいと特筆できるレベル。
茶葉の外観も良し。

旨み成分に頼らない複雑な味を目指していることが伝わってくるが、もっと旨みの多い茶葉に向いた製茶をしているようにも感じる。

湯の温度をかなり下げたときの一淹目は美味しいが、二、三杯目まで美味しく淹れるのは難しい。

もう少しだけ茶葉に合った製茶があり得る気がしたが、製茶の丁寧さ、保管の良さなどから、茶葉への愛情が伝わってきて、記憶に残った。
好みはあると思うが、100g 1,080円は安いといえるだろう。

箱物行政を思い出す――櫻井焙茶研究所

コンクリート打ちっぱなしの洒落た内装で立地は表参道のスパイラルビル。
一時期マスコミにたくさん登場していた店。

お店にあった急須のことを訊いたら新人らしき子に「検索してみてください」と言われた。
知識が無い上に客に検索させるスタイル。
他のスタッフも手助けせず、個人というよりお店の姿勢と教育の問題だろう。

店のメニューには番茶や日本茶Award入賞茶もあったが、少し訊いても一切話が発展しなかったので、これが哲学の言う「存在しない」ということかと苦笑。

お金を払い店内で京都のお茶を飲んだが、茶葉としては販売していないとのこと。

バブル時代に、ホールや庁舎など立派な箱物ばかり揃えてソフトが足りないことが問題になったが、平成も終わるという日本の民間企業でもこういう箱物は生まれていた。

茶葉の値段が余所の1.5~2倍ぐらいに見えたのは、表参道だから自分は良いと思う(もし接客が伴っているなら)。
2018年12月~2019年1月ごろ訪問

深蒸しも良いと思ったが酸味を感じた――駿河園茶舗 100g 1000円と1200円のもの

深蒸しの川根茶。
火香は少なめで、二回三回と美味しく、深蒸しでも良いかなと思えた。
保存は厳格でなく、酸味あり。
新茶になったらまた飲んでみたい。

爺さんの「普段余所で100g1000円のお茶を飲んでいるなら、うちでは300円だ!」の啖呵が微笑ましかった。
「なぜならうちは静岡の問屋だから」 とのことだが、東京にはそういう問屋の二男坊が出てきて開いたような店が本当にたくさんあるのだ。
どこも高齢化著しいのが寂しい。

2019年1~3月購入

旨み成分祭――日本茶テロワール 「茶師十段 前田文男氏」ブレンド

愛国製茶 日本茶テロワール
「茶師十段 前田文男氏」ブレンド
100g 1500円くらい
たしか知覧と高知のお茶をブレンドしていたような

火入れはそこそこ
保存は上々
肥料的「旨み」が非常に多い。ほとんど鹿児島か。

「茶師○段」 を前面に出したものに好みのものは無し、の記録を更新した。

生産家らしい酸味?――樽脇園 特上煎茶 1650円/100g

蒸しは浅いが酸味を感じる。
袋は空気の入るタイプで保存に課題あり。
茶葉はそこまで選別せず野趣を追求か?しかし正直酸味でよく分からなくなっている。
1650円/100gしたのに勿体ない。
満月や新月で摘み分けるなどしその薀蓄を語られているが、そんなことよりもまず保管に力を入れたほうが、総合的にはよほど味は改善すると感じた。
2019年2月

2018年6月16日土曜日

生産家直売のお茶が美味しくないことが多い理由

とある川根茶の生産者さんに、どこのを飲んでいるか問われたので、南園製茶さんのことを話したところ、「あそこは自分で作っておらず、いろいろなところから買っているから」とのことだった。
たしかに、色々な茶葉をブレンドしていると聞いたことがあるが、仕入れたものだったのか。

そしてそう言うときに生産家さんはたいてい、自園で作っていないところを一段下に見るような雰囲気を言外に感じさせる。

それではと購入させていただいたところ、案の定、ぱさぱさに乾燥させて酸っぱくなってしまっていた。
もちろん南園製茶さんのお茶に遠く及ばない。

経験上、生産家の直売するお茶は美味しくない場合もかなり多い。
それゆえ、実のところ大した驚きも無かった。

理由はいろいろ考えられるが、二つほど挙げておきたい。


・製茶の厳格さ

経験上、生産家直売のお茶は製茶の仕方が安定していないものが多い。
もちろん農作物なので誰が製茶しようが多かれ少なかれ必ずの味の振れ幅はあるが、仕入れて売っているところに比べるとロット毎、年度毎に、仕上げの仕方がより不安定な傾向が見受けられる。
小売店や生産家も自社製茶ではなくどこかの製茶会社に依頼したり共同所有の工場に持ち込んだりする場合も多いので、単純に売っている会社の製茶技術とは限らないが、仕上げに対する目が足りない場合が多いということを意味している。


・選択の不自由

また、根源的な問題として、基本的に自園の茶葉を使わなければならないという縛りがあること。
つまり、生産家直売の場合、天候不良や栽培の失敗で出来が悪い年でも自園の茶葉を使わなければならないのに対し、仕入れて売る側は、出来の良い茶葉を幾つかの茶園から選ぶことができるという点が強みとなっている。

農林水産大臣賞受賞茶園クラスの栽培をできる生産家が最高級の茶葉を用いる場合は、それに勝るものはないかもしれないが、それは100g数千円以上で、生産数も極めて少量になる。
100g2000円程度までのある程度数を出すものだったら、その年毎に出来の良い茶園から選べるほうが良い物に辿り着きやすいのかもしれない。


今回の場合は、そんなことを論じる以前の話で、品質管理ができていないというだけなので、論外と言えるが、何回か前に記したように、小売店で品質管理が悪く茶葉を台無しにしていた事例もある。
生産家直売だろうが仕入れて売ろうが、管理の良いところもあれば悪いところもあるというだけの話である。

ただ、自分が見てきた中で、生産家直売のお茶が不安定だったり美味しくなかったりする事例はすごく多いので、自分が生産家であるというだけで仕入れて売っているところを一段下に見るようなことは、絶対に止めたほうが良い、というのは間違いのないところだ。