2014年7月2日水曜日

暑い季節に「自家製ほうじ茶」

暑い夏の季節は、より多くの水分補給が必要になる。
もちろん緑茶でも良いのだが、カフェインが多くさすがにがぶがぶ飲みすぎると胃に負担がかかる。
そこで一般的には麦茶が飲まれることが多いと思うが、個人的に良いと思っているのが、自家製ほうじ茶(もどき?)である。

作り方はいたって簡単。
油気の無い鍋やフライパン、あるならば焙烙(ほうろく)で炒る(焙じる)だけである。

自分でやると利点はたくさんあって、
  • 焙じたてなのでおいしい。
  • 好みの焙煎ができる。
    個人的には茶色と緑が混ざったぐらいの、全体的にいえば黄色ぐらいの焙じ方が気に入っている。お店でよく見る茶色になりきったものに比べると保存が利かないので、お店では扱いにくいのだが、焙じてすぐに飲むからこそできる、自家製の特権である。
  • 茶葉の有効活用になる。
    頂き物や失敗した購入品などで、あまり好みに合わないお茶が残ってしまうことがあるが、ほうじ茶はそんなにデリケートなものではないので、ここぞとばかりそういうお茶を使うことができる。

などが挙げられる。

カフェインが多くない(らしい)ので多量に飲みやすいほか、ついつい冷たいものを飲みがちな時期に温かいほうじ茶を飲むのは、臓器にも大変良いと思われる。
また、ほうじ茶はお湯を冷まさず熱湯で淹れることができるし、煎茶に比べて二淹目や三淹目も味の変化が少ないので、淹れるのも楽である。

欠点は、煎茶に比べると栄養素が減ってしまうらしいことである。
栄養の話だけではなく、やはり煎茶でしか得られない風味や楽しさがあるので、当然のように煎茶も飲んでいるのであるが――。


ちなみに「焙じる」というのは「火であぶってからからになるまで熱する意」らしいので、字義から考えると、からからになりきらない程度で止めている私のやっていることはむしろ「炒る」(火で熱して焦がす意)のほうが近いかもしれない。

だが、それを言った場合そもそも、世の「煎茶」が、「煎じる」(薬や茶などを煮つめて、成分、滋養などを取り出す)という字義と乖離してしまっているが「煎茶」として通っているという、大きすぎる事例があるし、作り方からいえば「自家製ほうじ茶」と表現するのが最も妥当であるように思う。

なお、緑茶と紅茶がそうであるように、香りの質が違うので、ほうじ茶も必ず急須を使い分けなければならない。

2014年6月25日水曜日

浅田茶塢園 特選有機煎茶(100g 1300g)

宇治田原・湯屋谷郷は、蒸製煎茶の祖、永谷宗円生誕の地だそうだ。

http://www.slownet.ne.jp/sns/area/life/reading/interview/200908010942-9275541.html

後で知ったのだが、こちらのインタビューが興味深い。
いくつかピックアップすると、

・55歳で大手電機メーカーを早期退職されて農業へ転進されたそうだ。
・2000年当時、宇治田原には有機をやっている人が2人しかいなかったらしい。
・「茶塢」は中国の茶の本に見られる言葉で、山間で温度差が激しくて、霧が発生するような、良いお茶の採れる場所を「茶塢」と言うのだとか。

こういう方もいるのだなあと思うと興味深い。


特選有機煎茶(100g 1300g)は、普通蒸しとのことだが、中蒸しといえるぐらいで、細かく裁断された茶葉もなかなか多く、細長く揉まれた茶葉は少ない。
また、黒ずんだ高級部位から、茶色に酸化した部分まで、いろいろな茶葉が入っていて、少し荒茶っぽいところがあるが、茶柄ないし茎は除かれている。
特徴的なのは、滋賀県などにも見られた土っぽいというか葉っぱっぽいというか、そういう旨みの味が豊富で、しかも苦味もある程度ありながらも柔らかいというか上品に入っているところだと思う。

火香は強くないが、乾燥はそれなりにさせていると感じる。

パッケージングはシンプルで、空気抜きも無いし、脱酸素剤も入れていなかった。
空気抜きは茶の形状を損ねるという意見もあるし、脱酸素剤で味が変わるという人もいるそうなので、これはこれで一つの選択肢かと思う。

2014年6月9日月曜日

優れた水分調整――「新生わたらい茶 極上煎茶」(有機栽培茶)100g 1296円

「株式会社 新生わたらい茶」さんのサイトを見ると、社長の言葉がTPPまで言及し、生産者さん10名以上が登場し、顔写真とコメント付きで紹介されている。
最近、日本のウェブショップでは、店員が登場し「顔の見える販売」風にするのが流行しているが、年輩の生産者が多いお茶業界ではまだ珍しい。
「生活クラブ」が出資して株式会社化した組織のようであるので、その方面からの知恵だろうか。

サイトに掲載されている「事業内容」を見ると「荒茶の仕上加工および仕上茶の販売」とあるので、無農薬茶に取り組む各生産家が連合して加工販売する、窓口のような機能が推定される。

三重県度会町というと、東京の有楽町店をはじめ青山の市場や三越などにも度々出店されている中森製茶さんが知られている(?)が、今回の「株式会社 新生わたらい茶」さんという有機栽培のグループもあり、意欲的な町であると想像する。


極上煎茶 (初摘み) 100g 1296円

「極上煎茶」には「初摘み」とシールが貼ってあった。

形状は中蒸しっぽく、細い茶葉と粉っぽく粉砕された茶葉が混ざったタイプで、1200円のものとしては、いくぶん、茎、茶柄が多いかもしれない。
ただ味は素晴らしく、瑞々しく、良い意味の水っぽさ、青っぽさがある。

「今年の新茶は茶葉の水分は少な目、全国的に少ないようです。その為少し蒸気量を増やして蒸し、粗揉工程では乾きすぎないように注意して揉んでいます。」とのこと。
火香とはまた違う部分で、水分をうまく調整しているのが興味深い。

ミル芽の「香り」のほうはあまりないが、「味」は素晴らしいと感じる。
思月園さんの「生仕上げ新茶」と共通する部分を感じる、好みの方向性だ。
いかにも高級な外観や派手な香気を持っているわけではないが、水分調節のセンスで、しっかり味をまとめた誠実なお茶だと思う。
これはまた購入させていただきたい。

保存状態も申し分無く、空気を抜くタイプのパッケージングであった。

サイトには載っていなかったが、税別1500円の「手摘み」もあり、「手摘み」のほうがやや茶柄が少なく、濃厚な黒っぽい葉の味が増えた感じはあるが、思った以上に「初摘み」との差異は少ない。
むしろ「極上煎茶(初摘み)」のほうが茎が多い分、まろやかになっており、バランスが良いぐらいで、飲んでいて飽きることが無い。

無農薬で美味しいお茶がこう続くと、「嬉しい驚き」を通り越して「嬉しい悩み」といえる。

2014年5月30日金曜日

味を我慢せずにいただける無農薬茶――ごとう製茶「無農薬特上煎茶 かぶせ茶」100g入り1620円

平成26年産 無農薬特上煎茶 かぶせ茶 100g入り1620円

「ごとう製茶」さんは、愛知県豊橋市のお茶生産家さんである。

今年は無農薬・減農薬のものを積極的に飲んでゆこうと思い探してみたところこちらを知り、購入させていただいた。

数ある有機栽培農家からこちらを選んだ理由は、「旨みがきちんとありそうだったから」である。

経験上、オーガニック系のお茶というと、荒茶っぽいというか、あまり選別されていない、茎の味や大きい茶葉の味なども混ざったものが多く、葉もきちんと揉まれていないものが多い印象があった。

しかし私としては、別に、「有機栽培」と「そういう外観」がセットになっていてほしいわけではない。
むしろ品評会に出てくるようないわゆる「高級茶」、もしくは宇治茶の蓬莱堂茶舗さんのようなオーセンティックな作りのお茶、すなわち一芯二葉を中心とした若い部位が選別されて、きちんと揉まれたお茶が、無農薬でもあればと思っていた。

その点、こちらの「ごとう製茶」さんは、かぶせ茶をやっておられるし、品評会でも農林水産大臣賞を含む受賞暦が多いので、無農薬であっても高級茶的なお茶作りをされているように予想し、数ある有機栽培の茶業者さんの中からいの一番に購入させいていただいたのである。


まず到着して開封してすぐに大好きなミル芽の香りが溢れてきたことで、この時点でもう今回の買い物が成功だったことが分かる。
果たして、お湯で淹れてみても、ミル芽香と、アミノ酸的旨みが多い、高級茶の味わい。
火香も世間一般からしたら少なめの部類だろう。
ただ、もう少し水っぽい味がしても良かったか。

覆い香はそんなに目立っておらず、むしろミル芽と旨みのほうが印象に残るので、「かぶせ茶」というより「高級な煎茶(新茶)」という感。

葉が薄く柔らかいせいか、茶葉の量が少ないと二淹目の味は大きく変わってしまうが、一淹目の味が良い。

無農薬でもこういうお茶があるんだな、と感激した。
長いお付き合いをさせていただきたい。

有機栽培のお茶は探し始めなので、当面はいろいろと渉猟することになると思うが、こちらのお茶にはきっとまた戻ってくることになるだろう。

2014年5月2日金曜日

思月園 生仕上げ ゆたかみどり 100g入り 1300円

非常に楽しみにしているお茶である。

今年のものは、青々とした密度の濃い味は昨年以上だと思う。
二淹目も同じ傾向の味がきちんと残るところに感激する。思いのほかそういうお茶は少ない。

昨シーズンは例年以上にいわゆる高級なお茶をたくさん飲んだので、もしかしたら、よりいっそうこのお茶の特殊さ(良い意味で)を自分が感じているのかもしれない。

例年5月ぐらいまでの限定販売だが、与えられた期間、感謝して存分に味わいたい。

2014年4月19日土曜日

新茶の前に――アミノ酸添加と農薬

お茶屋さんのサイトをいろいろ見て回ったところ、気になるものを読んだ。

以下の漫画である。






「コープしが」さん作成のものだそうだが、生産者のサイトに掲載されていたので、内容についてはそれなりに信憑性があると思われる。


アミノ酸添加について
「アミノ酸」と表示されてなくても入っているものもあるんです
アミノ酸を添加する方法は 
(1)
茶葉が生乾きの時にアミノ酸を混ぜてしみこませる。
これを別の茶葉に一~二割足して混ぜる
[添加物(アミノ酸)と表示する義務はない]

(2)
茶粉、青のり粉、多糖類、アミノ酸などをドロドロに溶かして、それを線香状にのばし、細くカット(茶の茎に見える)。
それを茶葉に一~二%混ぜ込む
[添加物(アミノ酸)と表示される]

特に気になるのは(1)である。
たしかに、ときどき不自然な混ざり方で「旨み」を感じるお茶がある。
今までは、肥料をやり過ぎているのかと思っていたが、このような事例もあるとのことで、大変気になる。

天ぷらの種に味の素を入れて揚げると、プロでも分からない、というのを目にしたことがあるが、この(1)の例も、巧妙にやったら果たして見分けられるだろうか。
これは「工夫」の域を逸脱した行為だと思うので、規制すべきことのように思われる。


(2)については、明記しているだけ(1)よりは良心的であると言えるが、滋賀県茶業会議所のリンク(http://www.biwa.ne.jp/~shigacha/Templates/chatenpo1.html)にあるお茶業者さんのサイトを全部見てみたところ、たまに「アミノ酸添加」されたお茶が目に入ってきた。
そして「今の若い人の味覚にあった品です」などと書いてあったりする。

これを書いたのはもちろん「若者」ではなく「老人」なのだろうが、「ただの老人」ではなく、「若者に偏見を持った老人」もしくは「『若者』と一括りにして物事を考えてしまう老人」である。
お茶に携わる人間が文字通り「紛い物」を売っておいて、「今の若い人の味覚にあった・・・」というような、若者に対する偏見に満ちたことを書くのは、とどのつまり、若者のお茶離れに帰結するだけで、ほとんど誰のためにもならない。
むしろ紛い物の無い本物の味を若い世代にも伝える努力をしたほうが、明るい未来につながるはずである。


農薬について

もう一つはお茶の農薬の話である。
こちらに関しては比較的よく言われていることだと思う。
農業をやろうと土地を探した人が、お茶産地は避けた(農薬で汚染されているため)という話も聞いたことがある。
たしかにこの漫画にあるように、

お茶だけは唯一洗わずに口に入れるもの
お湯をかければ農薬が溶けてそのまま身体に入るのでは?
たとえ法律の使用基準を守っていても
本当にいいのだろうか……

というくだりは頷かされるものがある。

法律で使用を認められている農薬を年間15回ほど(暖かい地方なら20回ほど)散布するのは、当たり前のことなんだ。
お茶には害虫がたくさんつくからね。

20回散布するのが慣行となっている地方なら、10回でも「特別栽培農産物」になる(http://www.jcpa.or.jp/user/others/qa11.html)。


言うまでも無く、これは特定の府県だけの問題ではなく、全国、全世界的な問題である。

あまり報道されないが、インドの紅茶が残留農薬の基準を超えたたために輸入禁止措置が取られることも起こっている。

また、インドのPM2.5は中国より深刻(http://www.jiji.com/jc/zc?k=201401/2014010500079)という報道もある。

あまり神経質になると何もできなくなるのも事実ではあるが、毎年、末永くお茶を楽しむためにも、また、自分だけのためにではなく後世のためにも、2014年産以降は、アミノ酸添加および農薬のことももっと気にかけてゆこうと思う。

2014年4月13日日曜日

「煎茶特上 常盤木」(2,150円/100g) 蓬莱堂茶舗

以前に書いたように、年明けから新茶までの間は、少し「高くて良いお茶」を飲むようにしている。
この時期まで残っていてくれたお茶、そして、すばらしいものを作ってくださった生産者、鮮度を保ったまま販売して下さった売り手の皆さんに、敬意を禁じえない。

京都・蓬莱堂茶舗さんの「煎茶特上 常盤木」(2,150円/100g)は、他のお茶に慣れた後に同じやり方でこちらのお茶を淹れると薄さに驚くが、それはこちらで調整すれば良いだけのことであり、何ら問題は無い。
薄いといっても「勢龍」(1,600円)に比べると遥かに浸水が早く、旨みも出しやすい。

特徴的なこととしては、同じく2013年産の「出品茶 上」「勢龍」「都の緑」には見られなかった、木の実のような味がして面白かった。
「全国品評会出品 普通蒸煎茶 品種 やぶきた 愛知県豊橋市 岡本広敏さん製造100g入り  1260円(思月園)」にも見られた味であるが、「常盤木」はそこまで木の実の感じが強くはなかった。
(ただ、農産物ゆえ同じ銘柄であっても年度によって違うので、これはあくまで2013年の話である。)

茶葉は2000円するだけあり細くやや黒ずんだ見事なもので、「都の緑」に散見されたような茎はもちろん見当たらない。
マルヨシ近江茶さんの手摘み茶よりも「外観」は上出来に見える。

アミノ酸的旨みはかなりあるが、ただ優等生的なだけではなく、奥ゆかしい淡さがあり木の実のような味がするところが楽しいお茶であると思う。
「マルヨシ近江茶 手摘み茶 1,575 円/100g」に比べると覆い香がずっと少なく、淡い。
ただし、火香はこの価格帯のお茶にしては有るほうだと思う。


蓬莱堂さんは空気を抜く包装はしないことをお選びになっている。
おそらく、外観の破損を避ける意図があると推測するが、この時期であっても老ねはまったく感じない。

2013年産で飲んだもののベストの一つであると言える。