2017年12月22日金曜日

良いバランス - 一保堂「日月」

今年のお茶は・・・

一保堂さんではなくて全体的な傾向を言うと、今年の日本の煎茶は、幾つかの例外を除いて、非常に厳しい出来であると思う。

2015>>2016>>>>>>>>>>2017

という印象を受ける。
この備忘録を始めた2010年から、記憶にある限りでは、最も出来の悪い年と言えるのではないだろうか。
それくらい外れのお茶が多い。
昨年まで美味しかった銘柄も本年は壊滅しているという例がたくさんある。

ワインでは当たり年は安いものを飲んで、外れの年は高いものを飲むという人が多いと聞く。
それと同じように、外れ年でも一定の水準が維持されることを期待して、日本茶でも今年は1500円~2000円(100g、本体)くらいの、一般的には「高め」と言われるお茶を数多く飲んできたが、それでもバランスの崩れたお茶が大変多かった。


良いバランス

そんな中、頂きもので飲んだこちらの一保堂「煎茶 日月」は100g 1000円+税で、外観はたしかに1000~1200円程度のものに見えるが、味は旨み渋味が偏重することなくバランスが良い。

正確にいうなら、昨年、一昨年の「煎茶 日月」は飲んでいないので、その部分の比較はできないのだが、本年の他のお茶と比べる限りでは、間違いなくバランスが良かった。

すなわち、アミノ酸的旨みに偏らず、葉などの複雑な味が程よく混ざり、ほのかに被せ香も感じる。
チェーン展開の一保堂さんゆえ酸っぱく感じる寸前まで乾燥させているが、いやらしい火香とは違うように感じる。
もしかすると、このまま熟成させたら面白いかもしれない。

不作の今年にあってこのバランスを保っていることに拍手喝采を送りたい。

2017年12月5日火曜日

当地で人気の「かねき伊藤彦市商店」さんとは - 特上煎茶

亀山市関町の「かねき伊藤彦市商店」さんは、三重の北側、亀山市や四日市市の人と話すとしばしば推薦を受ける。

幾つか飲んでみたが、特にこの「特上煎茶」(100g 1000円+税)は、予備知識無しに飲んだらどこのお茶か当てる自信が全くない、スタンダードなお茶作りであると感じた。

すなわち火入れが強めで乾燥していて、芽と葉が適度に混ざり、旨みも少し多めだが標準の範囲内。これぞ100g1,000という感じのお茶だ。

「茶審査技術 十段」の仕上げたお茶とのことである。
かねき伊藤彦市商店さんはほかにも「農薬不使用」や「樹齢百年以上の在来種」などにも取り組まれているが、そのような肩書に影響され多くの人が推薦しているのだろう。
文言を取り払い、目を瞑って色々なお茶を飲んだときに何が見えるだろうか。

2017年12月2日土曜日

美味しいけれど・・・ - 蓬莱堂茶舗「常盤木」

100g 2,150円の常盤木
熟成香もありたしかに美味しいけれど・・・味の複雑さにおいて昨年や一昨年の後塵を拝す。
昨年より渋味も少なめ。

2017年12月1日金曜日

空気に馴染んで火入れも許容範囲に?- 中森製茶「特選 伊勢茶」

三重県度会郡の中森製茶さんの東京店では100g, 70g, 50g袋がそれぞれ1,000+消費税
で販売されている。
購入した50gの「特選 伊勢茶」は100gで2,000円に相当するといえる。

中深蒸し程度の茶葉に芽がふんだんに含まれているが、飲んでみての第一印象は「茶葉は良いが火入れが強いなあ!」であった。
しかし、開封後しばらくして空気が馴染んでくると、火香が飛んだのか、それほど気にならなくなってきた。
被せ期間がそれなりにあるのか、青々とした茶葉の良さも感じる。

三重や岐阜のお茶は100g 2,000円の価格帯でも、出品茶でないものに関しては、細く撚らないで粉砕されたような茶葉が多い。この地域の普段着の高級茶の形を見る思いで興味深い。

火入れの強さはやや気になるものの、関西のお茶など今年は出来が非常に悪いものが多い中、こちらのお茶は茶葉に関して一定の水準を保っていると思う。