2017年8月12日土曜日

火香の強い宇治茶 - 祇園辻利「八坂」

祇園辻利さんの「八坂」は96gで1,500円+税で、中途半端な重さはほかにも京都のお茶で見たが、袋が4gなのだろうか。あまり普及しないでほしい計り方だが、100gだと1,562円+税となる。

茶葉の外観は1,562円でも決して高くない素晴らしいもの。
味は、宇治らしい濃厚な旨みだが、かぶせ香もかなりある。
肥料も多そうだ。

何より特徴なのは火入れがかなり強いこと。

一保堂さんの茶葉もかなり乾燥させていると感じるが、火香が強いのとはまた違った。
火入れの仕方もいろいろあるのだろう。
こちら祇園辻利さんの「八坂」は乾燥ではなく火香が強い。
この茶葉で火香を抑えたものを飲んでみたいという気持ちになる。

「八坂」と名前を付けるのは、東京で言ったら「浅草」と付けるぐらいベタな印象を受けるがこれいかに。

2017年8月8日火曜日

今年は未だ出会わず - 新生わたらい茶 初摘み新茶 100g 1,296 円

「新生わたらい茶」さんの本年度産の煎茶は、すでに生活クラブ取扱のものを含め何種類も飲んでいるのだが、とにかく各々仕上げが全く異なっていて、新茶なのに火入れし過ぎというのものあれば、えぐみを残したものもあり、とにかく安定しないというか仕上げに一貫性が無い。
今年の生活クラブのものも、最初のロットは普通だったが、二回目のロットはやたらに火入れが強かった。


この数年飲んできたが、同じ銘柄でも葉の選別や火入れの仕方など、すごく振れ幅が大きいというのが結論である。

その振れ方がうまく作用したときには非常に美味しいものができるので購入を続けてきたが、今年はまだ出会わない。


今年の「初摘み新茶」は非常に葉の苦みが強かった。
今回のは、ある意味昔の新茶的な仕上げなのかもしれない。

無農薬のお茶をこの値段で購入できるのは大変素晴らしいことだが、今年の振れ幅は特に大きい。何かが変わったのだろうか。

2017年8月4日金曜日

今年も素晴らしい香り - 南園 初摘み新茶(月牙泉)

昨年あまりの素晴らしさに驚きと感動を与えてくれた南園さんの「初摘み新茶(月牙泉)」。

今年はどうかというと、店主さんによるとやはり収穫期に冷え込んだ影響で品質の維持に非常に苦労された様子。

茶葉を見ると、確かに外観は昨年のものに一段か二段及ばず、黒く細く撚られた茶葉だけではなく、薄めの撚りが足りない茶葉も散見される。

ただ、味は、少し葉の硬さ由来の強さ=渋味を感じた昨年のものに比べて、円やかなのが良い。
細かな茶葉がもう少し少なかったらもっと柔らかな味になっただろう(※追記 新年のロットには細かな茶葉が少なくなったものもあった)。

そして昨年と同じくミネラル的(?)な味と、爽やかな香気は健在で、川根茶の素晴らしさが全開である。
青臭くはないが火香は全く気にならない(※追記 秋~冬の時期は火入れがやや強い時もあるので注意)。
濃厚な旨みのある宇治茶とは違うが、これはこれで一つの高峰といえる。
旨みは多いが爽やかさがあるのは、肥料過多というまでにはなっていない良さを感じさせる。

祖師ヶ谷大蔵にはあと3軒くらいのお茶屋さんが近くにあり、南園さんは一番地味な店構えかもしれないが、この川根茶の上品さは他のお店では味わえないように思われる。
以前書いたように、ご兄弟やその息子さんが川根茶の生産家さんであるという点が決定的に大きい。

味の方向性にも納得が行き、感動を与えていただいた。

東京で2000円/100gくらいの良い静岡茶を飲んでみたいという方にぜひお勧めしたい。