2021年7月28日水曜日

高宇政光さん逝去

公式サイトによると、煎茶の名店、思月園の高宇政光さんが7月23日にご逝去されたとのこと。

様々な産地や品種のお茶が所狭しと並び、著作や講座などの啓蒙活動、日本茶インストラクター、日本茶Awardなどの企画、まさに八面六臂の活躍をしてこられた。

特に、「煎茶」が明治期の輸出を契機として規格化されてゆき、日本人が日常に今のような煎茶を飲むようになったのは実は昭和中ごろからである、というのは目から鱗であった。

早口で自分の理解が追い付かないことも多かったが、だんだん勉強するにつれて仰っていることの深さが少しずつ理解できるようになり、あらためて凄さを垣間見ることとなったのも、今や思い出となってしまった。

掛け値なしの人物がこの世を去られた。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

2021年1月24日日曜日

品評会らしからぬ――岡山県恵庭市・梶岡怜史さんの普通蒸し煎茶 100g 1300円(税込)

これまた珍しい岡山県恵庭市・梶岡怜史さんによるお茶(赤羽・思月園)。

第74回全国茶品評会出品普通蒸し煎茶とのことだが、およそそうとは思えない大振りかつ撚りの少ない外観で、素朴な田舎のお茶という感。
もちろん入賞は無かった模様。
どこまで入賞を目的とされたのかは不明だが、品評会系統のお茶としては、まだまだこれからといったところだろう。

味は大ぶりな茶葉らしく少し渋さ・硬さを感じるもの。
そして香りに土臭い(本当に土が付いているわけではない)癖がある。

煎茶然とせず、気取らずがぶがぶ飲むのが合っているようだ。

自分としてはもう300円ほど出して、先日の山梨県のお茶を買うほうがお得に感じた。

2020年11月22日日曜日

繊細な山梨のお茶――思月園 全国茶品評会出品普通蒸し煎茶

山梨県のお茶だが、富士川上流で静岡に隣接した地域。

第74回全国茶品評会出品普通蒸し煎茶 100g 1620円(税込)

品種はやぶきた 山梨県南巨摩郡南部町、静岡県に隣接した地域です 富士川の上流部に当たる山間地に茶畑が広がります 一回ご紹介したいものだと思いながら、全品の入札会では地元のJAが私のつける価格の三倍以上の価格で落札し、いつも買えずに泣いていました 今回は参加していなかったみたいで、ダメもとで入れた札で落札できました 次回に買える可能性は低いのでこの機会をお見逃しなく! 
(思月園サイトより引用)


2000円でも違和感ない外観。
製茶の仕方もあってか青草のような繊細な味で、低温&お湯が多めだととにかく味が出ない。
茶葉を多めにするだけでなく、少し熱めの温度で淹れると非常に美味しく、本領が発揮される。
淹れ方を試されるお茶ともいえる。
3、4回目は熱湯に近い温度で淹れると、これまた美味しい。
旨味は多いが不自然なところが無い、非凡なお茶といえる。
静岡のお茶によく見られる硬さが少なく、高知や九州のお茶を思わせる。
これはリピートしたい。

100g 1000円の価格帯とは全く別の世界が500円の違いで見られるのだから、こちらを選ぶべきだと感じた。

2020年9月5日土曜日

賭けに勝ったか?――「新生わたらい茶 有機一番茶上煎茶」

生活クラブ路面店で80g 800円(本体)ほど。

昨年度産の「上煎茶」は、同「特選」に比べてずいぶん落ちるように感じた。
今年度産の「特選」はいきなり酸味がした。

では今年度産「上煎茶」は?――というと大当たりだった。

まず、生活クラブにしては老ねた酸味が全然無い。
そして、緑の香り溢れ、ぼけた感じが少ない実に良いお茶。

「新生わたらい茶」さんのお茶を買うのはいつもギャンブル過ぎるが、今回は当たったようだ。
毎回このレベルの品質管理を祈りたい・・・が、2週間後くらいにリピートで同じものを購入したら、袋を開けた瞬間の新鮮な香りが前回のものより少なかった。店舗で傷んだか。

それでもなんだかんだで買い続けるのは、土台に有機の安心感があること。

2020年7月11日土曜日

保管の難易度を低く見積もっている――宮崎もりもっ茶 生茶仕立て新茶

豊緑園「農薬と化学肥料不使用 芽吹き新茶 オーガニック農園 宮崎もりもっ茶」
生茶仕立て新茶 宮崎県産 ゆたかみどり 

趣味性の高いのスーパー「信濃屋」はプロパーとしては「つぼ市」「葉桐」を主力にしていて、緑茶はおざなりになっているが、このお茶は少々興味深かったので購入してみた。

「焙煎を控えめにし、生の茶葉の香りを残したフレッシュな美味しさです」とのこと。
思月園さんの「生仕上げ 煎茶」を彷彿とさせる。

60g 約600円で、農薬・化学肥料不使用でありながらこの価格だが、外観は荒茶に近い。
これが安さの秘訣といえるだろう。

ほぼ荒茶であることで、旨味成分が不自然に突出することがないという良さがある。
そしてジューシーな香気も感じられる。
ただ、やはり茎(柄)や粉の癖が気になった。


問題は鮮度を保つパッケージングの部分。

・5月下旬に酸味が見られた1袋目
5月下旬でもうっすら酸味が発生してしまっていた。
賞味期限は2021年4月末になっていたが、そのころまで美味しく飲めるとはとても考えられない。

・酸味が無かった2袋目
なぜか6月前半に購入した分は酸味は問題が無い程度だった。

・香りが無かった3袋目
6月半ばに購入した3度目のものは、酸味こそ発生していなかったものの、新茶のジューシーな香味が消え、粉の部分の味が目立ち、古い深蒸し茶のようになっていた。


思月園さんの「生仕上げ 煎茶」は「空気を抜く」という最強の方式で袋詰めしているにもかかわらず、5月前半には販売終了してしまう。
この仕上げは水分量が多く、それ以降は責任を持てないためである。
しかも基本的に自店販売のみ。

それに対して豊緑園さんのこちらのお茶は、流通先で何が起こるか分からないスーパー卸をしているにもかかわらず(しかも6月以降にも販売)、水分量の多い茶葉で脱酸素剤のみというのは、やはり不十分だというのが現実なのだろう。

もし1回しか買っていなかったら、もっと良くない印象を持っていたと思う。

2020年6月15日月曜日

飛ぶ香りと保管――生活クラブ わたらい新茶

生活クラブ わたらい新茶 わたらい一番茶

「わたらい新茶」

今年も開封してどんどん水っぽくなり香りが薄くなる不思議なお茶。
時節柄、ついにコロナに罹ったか?と心配してしまったほど。
その分茶葉をたくさん使えばたしかに美味しいのだが、消費が早くてしょうがない。
火入れは抑えられていて良かった。


「わたらい一番茶 特上」

新茶なのにすでに酸味を感じる残念な保管。
生活クラブは生鮮食品以外は味にこだわりが感じられないのが残念なところ。

2020年6月14日日曜日

旨味の量は多い――「生仕上げ」新茶

「生仕上げ」新茶 ゆたかみどり 普通蒸し 100g 1,512円

毎年楽しみにしているお茶。
昨年のものに感じた旨味の癖が、今年のものは素直になり、「より純粋なアミノ酸的旨味」という感じになったが、旨味自体はやはり過多であるように感じられた。
外観は昨年のものより爽やかで綺麗な緑。
全体的には昨年のものより良かったと思う。