2020年2月29日土曜日

円やかで飲みやすい――清風園「和敬」

100g1500円+税でこちらのお店の通常ラインナップでは最高級品。
本山と森町あたりの茶葉を合組しているとのこと。
普通蒸しと深蒸しの間くらい。
嫌な渋みや酸味は一切なく、円やかな味。
以前のものに比べると、香気がおとなしいのか、少し水っぽいような感じがする。
茶葉もそこそこ細かいせいか、多めの湯量でラフに飲んで美味しいお茶と感じた。
好みとしてはもう少し深蒸しの茶葉比率が少ないほうが嬉しい。
また、少し肥料由来の旨味を感じてしまうこともあったが、そこまで嫌なほどではない。
飲みやすい良いお茶であると感じた。

2020年2月28日金曜日

お茶は良いのに袋の煙草臭で台無し――墨田区某店

墨田区錦糸町駅から歩いた某茶店。

卸が主業務ということで、小売は今時珍しく100g1000円+税のものが煎茶の最高級品という。
産地は掛川で、普通蒸しと深蒸しを混ぜているとのこと。
飲んでみると非常にバランスが良い。
不自然な旨味は少しあるが極端ではない。
山のお茶のようなつんとした香気ではないが、鮮度と香りがあり、高地でないお茶としてできることをきちんと押さえた達意のお茶。
火入れは、強いと感じないレベルで収まっている。
今回は大きな袋から封切りだったというのもあるかもしれないが、一保堂のようなぱさぱさした乾燥のさせ方とは真逆でしっとりしていて保存が良い。
100g1000円で気張らずに飲むお茶としてはパーフェクトに近い出来ではと思った。

ただし!
袋からぷんぷんタバコの臭いを感じた。
昭和の昔ならいざ知らず、令和の時代に日本茶の小売店で、お茶を入れる袋(お茶に直で触れる袋)にタバコの臭いが染みついているというのは、いただけない。
全ての良い評価を台無しにするほど残念なことだと思う。

2020年2月27日木曜日

幅広い――「茶の池田や」

新宿駅地下に構える「茶の池田や」さんは、日本茶、茶器、珈琲、海苔、中国茶、紅茶、昆布茶等が所狭しと並ぶ楽しい店だ。

日本の煎茶では、蒸しについて「特蒸し」「上蒸し」など意味不明・頓珍漢な表記が気になる。
「普通蒸し」と「若蒸し」とを区別して使っているのも、全国標準の用法とかけ離れていて、消費者を混乱させるだけだ。

お茶の品揃えは品種、産地、価格、仕上げどれを取っても幅広い。
買い方として偏ってしまうが、品評会出品茶ばかり二点ほど購入させていただいた。

岐阜県・白川産(2018年関西茶品評会入賞煎茶、100g2000円)は、被覆が無いお茶だそうで、外観はすごく高級な形状でありながら色は濃過ぎず、鄙びたお茶の味がして、面白いと感じた。
ただ、二淹目は酸味苦味が出やすく難しい。
もしかしたら2018年製というのも影響しているのかもしれない。

宮崎県産(2019年全国茶品評会入賞煎茶、80g2000円)のほうは、外観は良いがとにかく肥料的・不自然な旨味で、被覆し過ぎ、火入れもそこそこあり、高価ではあるがちゃらちゃらしたお茶だった。

「品評会入賞茶」だけでもこのように全く傾向が違う。
良くも悪くもお店としてこういう味というものが無いので、この振り幅の中で好みの味に出会うのはなかなか難しいかもしれない。