2016年5月25日水曜日

生仕上げ ゆたかみどり

毎年楽しみにしているお茶。
鹿児島県枕崎産。
昔の青臭いまでの新茶の香りを演出するため、思月園さんが選び抜いた「ゆたかみどり」を、あえて日持ちを捨て、水分量多めで仕上げた名作。
水分の都合上、例年5月末頃までの販売で、早目に飲み切ることが推奨されている。

今年は例年よりも濃厚で、分かりやすくメリハリのある風味。
それゆえに、淹れやすく、このお茶の特徴であるジューシーなまでに瑞々しい味が引き出し易い。
早目に飲み切ってくれる人ならば、誰にでも薦めることができる。

実際、あまりお茶に詳しくない人に一袋さしあげたところ、感銘を受けていた。

今年のは当たりの部類に入ると思う。
少し味のぼけた感じがした昨年を踏まえて葉を選ばれたのが伝わってくる。
ただし、やや大味なところもあるため、来年はこれに繊細な香りも更に加わったら嬉しい。
いずれにせよ、たとえ上手くいった年もそうでない年も、腰を据えて飲み続ける価値があるお茶。

思月園さんのブログによると、年々このお茶を見つけるのが難しくなっているとのこと。
また、熊本の地震では同県のお茶業界も甚大な被害を受けているとのこと。
5年前は東日本大震災と放射能に怯えながら、こうしてお茶をいただけることがいかに恵まれてることかを痛感した。
熊本の復興を祈りつつ、本年のお茶も感謝を忘れずに頂きたい。

2016年5月5日木曜日

「変化」を超えた4月の「勢龍」


「勢龍」は「都の緑」よりも「常盤木」に近いと思っている。

あえて4月に昨年の勢龍を飲んでみる。

蓬莱堂さんは、伝統に則るということで、「火入れ」はなるべく避け、冷凍保存も行わずあえて空気を含ませた常温の壷で茶葉を保存し、販売時の袋詰めも酸素を抜かない方式を選ばれている。

これらはいずれも「保存」という点では難易度を高めるわけだが、「味を保つ」というよりもあえて「変化を楽しむ」ものと位置づけられているとのことである。

ただ、さすがに次の新茶が出始める時期ともなると、「変化を楽しむ」という段階を通り越してしまったと自分には感じられた。
少し瓜のような癖のある臭いを感じた。

これは、いままでに買った「勢龍」のみならず、どの蓬莱堂さんのお茶でも一度も経験したことが無いものだった。

こんなこともあったが、 「勢龍」はとても好きなお茶だ。
次年度はもう少し早い時期に「勢龍」を買いたいと思う。