2015年10月11日日曜日

ミル芽香と渋みが一体になった分かりやすさ――相藤農園「一番摘み」

沢山の品評会受賞歴を誇る相藤農園の川根茶。
その「一番摘み」である。

「一番摘み」とあるが、こちらは「5月上旬に収穫されたお茶」(1080円/100g)だそうで、

実際は更に
  • 「初摘み」:4月末から5月初旬に特に良い茶園の最初に収穫された最もみる芽(若い芽)のお茶(2000円/100g)
  • 「大はしり」:5月初旬に良い茶園で収穫されたお茶(1500円/100g)
  • 「八十八夜摘み」:5月初旬の八十八夜の頃に収穫されたお茶(1200円/100g)
が上の価格帯=早い茶摘み時期に鎮座する。

「一番摘み」と「初摘み」の違いが紛らわしい!
「『初』という意味ではなくて、『一番王道の時期』ということで・・・」ということであろうが、気になる表現である。

それでも、この「一番摘み」も封を開けた瞬間に、ミル芽の香りが溢れてくるのは見事としか言いようが無い。
近年、100g1000円のお茶で、この香りにはなかなかありつけない。
というか、新茶の時期に新茶を買ってもこの香りを持ったものが少ない。
その点こちら相藤農園さんのお茶は、素晴らしい鮮度保持ができているということである。

ただ、葉の渋みというか苦味も同時にかなり感じるお茶で、よくイメージされる静岡らしいお茶といったところであろうか。
ミル芽の香りと苦味渋みが渾然一体となって押し寄せてくる、分かりやすさ持ったお茶と言えるだろう。

乾燥もしっかりさせていると思うが、やりすぎの手前できちんと止めているように思う。

2015年10月4日日曜日

「萬古不易」――茶舗あすか萬古焼コレクション

日本茶の急須を売るお店として、東京の二大巨頭といえば西荻窪の「茶舗あすか」さんと神田の「丸善銘茶」さんになるかと思うが、茶舗あすかさんがついに万古焼の展示をされることになった。

その展示の中心を成すのは山本広巳さん。
美意識の点で個人的な好みからは外れるが、使いやすさや急須を探求したという点で、空前絶後の製作家といっても過言ではないだろう。
お姉さんが作っていたと言われる茶漉しは、どんな深蒸しでも涼しい顔で淹れてくれそうだ。

急須というと、古いお茶屋さんに残るものを見るばかり。
しかし茶葉と同じように、産地にでかけたり、競りで落としたりして、コツコツと良いものを集めているお店も存在するのだ。
そしてそれを知っている急須好きのお客さんが喜んで買ってゆく。
広告があるわけではないから、マスコミで急須ブームを仕立てるようなことはないかもしれないけれども、水面下でそういう愛好家たちがいるのだ。

色々なお茶を買い歩くようになったら、きっと急須にも興味を持つ。
もしそんな段階に来た人がいたら、ぜひ足を運んでみるべきだ。

お茶より珍しい急須の祭典。きっとすごいものになるだろう。


神楽茶樓
東京都杉並区西荻北3-16-3 西荻神楽ビル 1F
03-6913-9370

展示期間10月1~7日