2017年7月18日火曜日

うわべでなく中身が伴った萎凋--河村商店「萎凋 狭山かおり」

萎凋は在来種とともに日本茶の未来であるかのように語られることがあり、この7,8年だろうか流行の気配を見せたが、うわべだけで台湾茶の出来損ないのようなものがやたらに高い値段で売っていたりと、肝心の味が伴っていないものが非常に多いという印象がある。
そして、能書きに感化された人々が激賞しているだけ、というのが偽らざる感想だ。
特に、萎凋+在来種に力を入れていることで有名な某茶園のものは、数種類飲んだが、いずれも「これなら素直に台湾茶を飲んだほうがよほど良い」という出来だった。

その点、河村商店さんの「萎凋香 狭山かおり」は、狭山かおりの特性をきちんと見極めた上で萎凋を用いていて、値段も100g1000円程度、何より萎凋の良さと日本茶の良さがきちんと味わえるところが素晴らしい。

この地区で知らぬ人のいない生産さんとのことで、早くから萎凋に取り組んできた方でもあり、萎凋が減点対象となる全国茶品評会でも長らく好成績を収めてこられている方であるから、理念だけで萎凋を用いている人とは天と地の差がある。

渋味や火入れはかなりあるので、このお茶は、濃く少量の飲み方ではなく、気取らず大きめの器で飲むのが合うように思う。