2016年10月12日水曜日

良心の塊 - 新生わたらい茶 上煎茶 松

極上煎茶」は素晴らしい出来だったが、夏を過ぎたころに購入したものは、新茶の香りが抜け、熟味が出てくるまではやや淡白な味となった。

2ランクほど下がった「松」はというと、摘採時期が遅くなった分、茶葉が大ぶりになり、その分だけ普通蒸し的な外観になった。
「極上煎茶」の方が葉が小さい分、深蒸しのような外観だったのが興味深い。

「松」は、「極上」に比べるとややブラウンの屑葉や茶柄も散見される。

味は、葉が大ぶりになった分だけ強くなったが、その割には渋みは少なめで、不思議なまろやかさがある。
夏過ぎの「極上」よりもむしろ「松」のほうが、複雑な味、香りを纏っている。
多めの湯量で淹れたときに相性が抜群で、「常茶」的な用途に最適。
新生わたらい茶さんのお茶らしく、瑞々しさも健在。

この価格帯、そして八十八夜以降の大きめの茶葉でこのように瑞々しさを失わないだけでも稀有なのに、無農薬と来ている。
100g900円以下の茶葉でこれ以上は望みようがない、良心の塊のようなお茶。
高いお茶なら色々と良いものはあるが、この値段でここまで素晴らしいお茶にはかつて巡り合ったことが無い気がする。

生産者直売に近いからこそできることで、競りや小売店いった流通を通したら、この価格でこの品質は望み難い。

この下のランクである「竹」はどうなっているのだろうか?
「竹」は「焙煎温度をやや高め」とあるので、新生わたらい茶さんでは異例の、火香の強めの煎茶なのかもしれない。
文面を見る限りおそらく好みとしては「松」となりそうな予感がするが、飲まずにはいられない。