2014年6月25日水曜日

浅田茶塢園 特選有機煎茶(100g 1300g)

宇治田原・湯屋谷郷は、蒸製煎茶の祖、永谷宗円生誕の地だそうだ。

http://www.slownet.ne.jp/sns/area/life/reading/interview/200908010942-9275541.html

後で知ったのだが、こちらのインタビューが興味深い。
いくつかピックアップすると、

・55歳で大手電機メーカーを早期退職されて農業へ転進されたそうだ。
・2000年当時、宇治田原には有機をやっている人が2人しかいなかったらしい。
・「茶塢」は中国の茶の本に見られる言葉で、山間で温度差が激しくて、霧が発生するような、良いお茶の採れる場所を「茶塢」と言うのだとか。

こういう方もいるのだなあと思うと興味深い。


特選有機煎茶(100g 1300g)は、普通蒸しとのことだが、中蒸しといえるぐらいで、細かく裁断された茶葉もなかなか多く、細長く揉まれた茶葉は少ない。
また、黒ずんだ高級部位から、茶色に酸化した部分まで、いろいろな茶葉が入っていて、少し荒茶っぽいところがあるが、茶柄ないし茎は除かれている。
特徴的なのは、滋賀県などにも見られた土っぽいというか葉っぱっぽいというか、そういう旨みの味が豊富で、しかも苦味もある程度ありながらも柔らかいというか上品に入っているところだと思う。

火香は強くないが、乾燥はそれなりにさせていると感じる。

パッケージングはシンプルで、空気抜きも無いし、脱酸素剤も入れていなかった。
空気抜きは茶の形状を損ねるという意見もあるし、脱酸素剤で味が変わるという人もいるそうなので、これはこれで一つの選択肢かと思う。

2014年6月9日月曜日

優れた水分調整――「新生わたらい茶 極上煎茶」(有機栽培茶)100g 1296円

「株式会社 新生わたらい茶」さんのサイトを見ると、社長の言葉がTPPまで言及し、生産者さん10名以上が登場し、顔写真とコメント付きで紹介されている。
最近、日本のウェブショップでは、店員が登場し「顔の見える販売」風にするのが流行しているが、年輩の生産者が多いお茶業界ではまだ珍しい。
「生活クラブ」が出資して株式会社化した組織のようであるので、その方面からの知恵だろうか。

サイトに掲載されている「事業内容」を見ると「荒茶の仕上加工および仕上茶の販売」とあるので、無農薬茶に取り組む各生産家が連合して加工販売する、窓口のような機能が推定される。

三重県度会町というと、東京の有楽町店をはじめ青山の市場や三越などにも度々出店されている中森製茶さんが知られている(?)が、今回の「株式会社 新生わたらい茶」さんという有機栽培のグループもあり、意欲的な町であると想像する。


極上煎茶 (初摘み) 100g 1296円

「極上煎茶」には「初摘み」とシールが貼ってあった。

形状は中蒸しっぽく、細い茶葉と粉っぽく粉砕された茶葉が混ざったタイプで、1200円のものとしては、いくぶん、茎、茶柄が多いかもしれない。
ただ味は素晴らしく、瑞々しく、良い意味の水っぽさ、青っぽさがある。

「今年の新茶は茶葉の水分は少な目、全国的に少ないようです。その為少し蒸気量を増やして蒸し、粗揉工程では乾きすぎないように注意して揉んでいます。」とのこと。
火香とはまた違う部分で、水分をうまく調整しているのが興味深い。

ミル芽の「香り」のほうはあまりないが、「味」は素晴らしいと感じる。
思月園さんの「生仕上げ新茶」と共通する部分を感じる、好みの方向性だ。
いかにも高級な外観や派手な香気を持っているわけではないが、水分調節のセンスで、しっかり味をまとめた誠実なお茶だと思う。
これはまた購入させていただきたい。

保存状態も申し分無く、空気を抜くタイプのパッケージングであった。

サイトには載っていなかったが、税別1500円の「手摘み」もあり、「手摘み」のほうがやや茶柄が少なく、濃厚な黒っぽい葉の味が増えた感じはあるが、思った以上に「初摘み」との差異は少ない。
むしろ「極上煎茶(初摘み)」のほうが茎が多い分、まろやかになっており、バランスが良いぐらいで、飲んでいて飽きることが無い。

無農薬で美味しいお茶がこう続くと、「嬉しい驚き」を通り越して「嬉しい悩み」といえる。