「玉緑茶」「蒸しグリ」で名高い茶処・嬉野を訪問する機会があり、宿の近くに美味しそうな店があったので購入してみた。
「茶舗 多与安」さんは、お店のすぐ裏が製茶場になっている。
店内には、茎茶(白折)や粉茶もあり、端物も粗末にしない、自家製茶ならではの品揃えに感銘を受けた。
100gあたり1,000円と1,500円の茶葉を見せていただいたところ、かなりの違いを感じた。
(ちなみに1,200円や1,000円未満も色々ありました)
1,500円のほうが緑が濃く、高級茶葉独特の繊細な香りがする。
味は、炒った香ばしさが控え目で、九州北部の高級茶葉の良さが引き出されている。八女にも通じる茶葉の味である。
見た目は、よく見る「玉緑茶」(蒸しグリ)に比べて、あまり丸まっていない。
「玉緑茶」にしては、見た目、味ともに、普通の煎茶に近い。
炒る工程が少なめなのかもしれない。
玉緑茶の1,000円のほうは、酸味もしくは香ばしさを感じるというか、ややワイルドな味であった。
むしろ味が面白かったのは釜炒茶のほうで(100g800円)、よくあるパサパサで老ねたような味とは別物で、お茶の味わいがしっかりしており、釜炒り独特の炒った味の奥に、滋味というか上品さを感じさせる味作り。
茶葉を見ると、玉緑茶よりは丸まっているが、一般の釜炒り茶よりも丸まりが控えめのように見える。
嬉野を訪れてみると、山間に茶畑や稲があり、あまり大規模化せず丁寧に作っていることを感じさせる。
嬉野の玉緑茶に開眼させられた思いである。
「茶舗 多与安」さんは、サイトで通販などはされていないようであるが、特に1,500円の玉緑茶と800円の釜炒り茶は、通販でも購入する価値があると感じたため、お願いしてみたところ、親切に対応いただき、届いたお茶の品質も変わらず素晴らしかった。
来年以降も折にふれて購入したい。
ふらっと訪れたお茶屋さんがここまで美味しかったりすると、お茶の奥深さにあらためて感動させられる。
ちなみに、泊まった旅館にも嬉野茶のコーナーがあり、販売員さんが立ち試飲もできるほど力の入れようだったが、包装ばかりきらびやかで味は・・・みやげ物によくある事そのものであった。
・嬉野の他のお店(たくさんあった)はどうなのか?
・全国の茶処に、このように隠れた実力店があるのか?(あるなら味わってみたい)
興味は尽きない。